お合いこよ!
「うー」
暫く続いたにらみ合いで 根負けした明夏さんは、渋々 指を引っ込めました。
「─ 何で、口を閉じないかな」
顔の下部の強張りをどうにかしようと、指で揉み始める景冬君。
「どうして、お前の汚い指を、俺が咥えないといけないんだ?」
「私の指より、あんたの口の中の方が汚いと思うけど」
「じゃあ、そんな所に 指なんか突っ込むなよ」
明夏さんが、頬を膨らまします。
「次は、不意を付いて咥えさせてやる。」
「咥えて欲しがる指は、自分の口にいれろよ」
「それだと、『何で人の指を噛むのよ!』って 文句が言えないでしょ!?」
膨らまされた明夏さんの頬を、景冬君が指でつつきます。
「今度口の中に指が入って来たら、容赦なく噛み切るからな」
「や・ば・ん・じ・ん。」
「人の口に勝手に指を入れる奴に、言われたくない!」