EMIRI 4 三つ股してる?大親友のストーカー
(大原さんから何かされたわけじゃないし、まさか部屋に侵入出来るはずなんかないわけだし、私の思い過ごしだったら、失礼になっちゃう。でも・・・)
身体をもぞもぞと窓側に寄せながら、大原の顔をチラ見すると、彼はムスッとした顔をしている。
(もう少しにこやかにしてくれたら、調子を合わすのに、こんな空気じゃ余計心配だわ)
奈美は沈黙に耐えられなくなって来た。そこに、
PPPPPPPPPPPP。PPPPPPPPPPPP。PPPPPPPPP・・・
「あ。電話。すみません、電話がかかって来ちゃった」
カバンからスマホを取り出すと、相手は『南刑事くん』の表示。
(助かった・・・)昨日の直電話の際に、その番号を登録していたのだった。
「あれ? なんだろ。・・・もしもし、井上です」
[井上さん。南です。今、大丈夫ですか?]
「はい、少しなら大丈夫です」
[監視カメラ調べたんですが、不審者が写っていました]
「本当に? え? そうなんですか?」
[今から写真を送るんで、心当たりないか、確認してもらえますか?]
「あ、はい」
[携帯アドレスに送ります]
そう言うと一旦、電話は切られた。
「どうしたの?」
大原が聞いた。
「ちょっと知り合いからです」
「彼氏?」
「そんなわけないじゃないですか」
「彼氏いないのか」
「ええ、まあ(汗)」
「でも、男に呼び出されたんじゃないだろうね?」
作品名:EMIRI 4 三つ股してる?大親友のストーカー 作家名:亨利(ヘンリー)