北へふたり旅 46話~50話
「おなじ4時間でも、中身に大きな違いがあるな。
がんばって運転しょうと考えていたけど、なんだか気持ちが萎えてきた」
「そう思うでしょあなたも。
無理することはないわよ。骨休めのための旅行だもの。
ねぇおねえさん。
この人の気が変わらないうち、特急列車の座席を取ってください」
「かしこまりました。
特急・北斗で、札幌までお2人さまのご予約ですね。
たしかに受け承りました。うふっ」
いまはまだ6月。
宿はどちらも確保したが、JRの座席券が買えるのは旅行の一ヶ月前。
旅行代金の一部として手付金を払い、スーパーマーケットをあとにした。
駐車場まであるいているとき、妻の携帯が鳴った。
ゴルフ仲間。ひとまわり下の美女からだ。
「あなたのお店のコンペ・・・参加するわ。
夏休み中ですもの。暇はたっぷりあります。
9月1日の土曜日ね。8月は予定があるけど、9月ならだいじょうぶ。
参加します2人とも。はい、よろしく」
9月なら大丈夫よねと、妻が同意をもとめる。
え?。大丈夫ではないだろう。
27日から北海道旅行だ。たったいま決めてきたばかりだ。
戻って来るのは4日後の30日。1日おいて翌日は9月1日。
旅行から中一日で、ゴルフコンペに参加することになる。
「あら・・・どうしましょう、あなた・・・
うっかりしていました、あたしったら。快諾してしまいました。
いまから断りましょうか。ひとまわりしたの美女に」
(51)へつづく
作品名:北へふたり旅 46話~50話 作家名:落合順平