コロナを吹っ飛ばせ! ライダー!
「この事態にどう対処するかだが……」
ショッカーの秘密基地では首領の部屋に幹部が集結し、緊急会議を開いているのだが……我が強く功名心も人一倍、いや、百倍な幹部たちのこと、会議は初めからまとまりを見せない。
例によって首領は姿を見せず声のみ、部分的web会議だ、それゆえ三人の内誰がイニシアチブをとるのか決まっていない。
「地獄大使、貴様がこの会議を取り仕切る気か?」
真っ先に口を開いた地獄大使に死神博士が噛みつく、未だライダーチームの面々を一人として倒せていないショッカーにあっては三人の幹部の誰を筆頭とするか、首領の裁定は下りていないのだ。
「そうアルよ、我々三人は対等の立場にあるはずアル」
「だが、誰かが取りまとめないことには議論は進まないではないか」
「最古参はワシだ、ワシが中心になるのが当然だろうが」
「それはおかしいアル、アンタは一度左遷されたアル、それまでの経歴はチャラアルよ、失敗の数の少なさならワタシが一番アル」
「それは新参者で出動数が少ないだけだろうが、前々回の『神宮球場の精霊』を読んでみろ、ライダーチームは忌々しい陰陽師だけだったではないか、魔術が売りの貴様が陰陽師一人に破れてどうする」
「アイヤー、その論理はおかしいアル、武闘派を気取る地獄大使こそライダーたちのクソ力の前に毎回毎回負けてるアル」
「マンジューの言う通りだ、少しは頭を使うことを憶えたらどうだ」
「フン、スフィンクスのネコパンチ一発で吹っ飛ぶ怪人しか造れない男が何を言うか」
要するにどんぐりの背比べなのだ、眼前の問題を他所に政局争いに終始しているばかり……。
「このバカ者たちが!」
見苦しい誹謗中傷の応酬に業を煮やした首領が吠えた。
「力を合わせてこの難局を乗り切らねばならぬと言うのにいがみ合ってばかりでどうする、このコロナ禍をどう乗り切るか、それを話し合う場だと言うのに、コロナのコも出て来ないではないか!」
ショッカーの秘密基地は基本的に合宿生活、指導的立場にある者は個室を与えられ、妻子持ちには通いも認められているが、他の大多数は大部屋での共同生活、その上連日厳しい訓練を課せられ、格闘の実習も日課になっている、相撲部屋と同じような条件なのだ、誰か一人コロナ感染者が出れば瞬く間に広がることは避けようがない。
事実、医療室は崩壊状態、感染者を一部屋に集めて隔離を図ったものの、感染者が続出している今となっては世界征服活動も自粛に追い込まれているのが現状なのだ。
しばしの沈黙ののち、フー・マンジューが口を開いた。
「いっそのこと全員感染すれば良いアル、それ以上感染拡大の怖れはなくなるアルよ」
「なるほど、逆転の発想だな……そもそも戦闘員はほとんどが二十代、感染しても軽症で済む可能性が高いな、戦闘員によっては無症状で済むやも知れん」
「な……何を無責任な事を……ワシはどうなる? 自慢じゃないが既に後期高齢者の保険証を持つ身だぞ、ワシが感染したら重篤化する可能性が高いではないか!」
死神博士が青ざめた。
「確かにな……だが、それならば貴様だけ隔離すれば済むことではないのかな?」
地獄大使はもともと死神博士とそりが合わない、口端に笑みを浮かべながら言う、
「な、なんだと? 最古参幹部たるワシをなんだと思っているのだ! ワシ抜きのショッカー日本支部など……」
「アイヤー、ワタシも地獄大使の考えに賛成アルよ、どうせ大した働きは出来ないアルからな、年寄りはすっこんでるヨロシ」
フー・マンジューもうすら笑いを浮かべている。
「ふ、ふざけるな!」
死神博士がそう叫んだ時、首領の声が冷たく、重々しく響いた。
「ワシもその考えに賛成だ、死神博士、当分の間自室で待機しているがよい」
「しゅ……首領様……」
「これは最終決定だ、地獄大使、フー・マンジュー、死神博士をつまみ出せ、自室に軟禁するのだ」
「な……離せ、ワシを誰だと…………」
死神博士を排除したのちも会議は続けられ、首領の主導の下に、ショッカーが日本の、ひいては世界の頂上を極めかねない、世にも恐ろしい作戦が決定された。
「では、会議はこれで終了とする、地獄大使、フー・マンジュー、直ちに作戦の実行に着手するのだ」
「「ははっ」」
名付けて『一億総コロナ作戦』
まずはコロナに感染した地獄大使配下の戦闘員を私服姿で野に放ち、やりたい放題の迷惑行為をさせてそれを撮影しYoutubeで配信する。
数か月に及ぶ自粛ムードには誰もがウンザリしているが、ここが我慢のしどころと考えて耐えている、しかし、それに耐えられない身勝手な者たちも当然いる、そういった者たちを扇動しようと言う作戦だ。
ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!
「オラオラ! 自粛自粛ってもう飽き飽きなんだよ! 俺たちの若いエネルギーで消費拡大を目指そうぜ! 夜の街に活気を取り戻そうぜ!」
「オラオラ! みんな! むしろ積極的にコロナに感染しようぜ! なぁに、俺たち元気な若者はかかったところで大したことにゃならねぇよ、鼻風邪みたいなもんだ、コロナがいつ収束するかなんてわかりゃしねぇ、二年、三年先かもわからないんだぜ? それまでずっとビクビクしながら暮らして行くのかよ! 俺は真っ平だぜ!」
「コロナは友達、Withコロナ、いっぺん感染してコロナ抗体を作っちまえば怖いもんはねぇぜ! 感染は自然のワクチンだ! レッツ感染! 弱い者は淘汰されて強い者が生き残る、それが自然の摂理ってもんだぜ!」
電車やバス内でマスクもつけずに騒ぐ。
『コロナ!』と叫びながら通行人に抱きつく。
街中でフラッシュモブよろしく躍り出す。
徒党を組んで騒ぎながら街を練り歩く。
居酒屋に大挙して繰り込みバカ騒ぎを繰り広げる。
果てはスーパーマーケットで生鮮食品をベタベタ触って、勝手に開封して食べてしまうなどのやりたい放題。
そもそも犯罪者集団なので逮捕も怖くない、駆け付けた警察官にも抱きついて感染させようとするので警察も迂闊に手を出せない。
ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!
「ジジイ・ババアはさっさと死んじまえ! 年金制度や保険制度はお前らのせいで破綻寸前だよ!」
「うじゃうじゃいる高齢者の年金を少ない若者で支えるのはもう真っ平なんだよ! ちっとも人生の先読みが出来ねぇぜ」
「今でさえ日本は超高齢化社会なんだ、この上超々高齢化社会なんて未来は見たくもねぇぜ!」
「これは世直しだ、コロナで世直しだ! ジジババを狙って死なせる、こいつはある意味痛快なウィルスだぜ!」
一方のフー・マンジュー・グループはプラカードを掲げ、マスクもかけずに大声をあげて無許可デモを繰り返す、解散を命じられれば蜂の子を散らすように散るが、あらかじめ示し合わせた場所に再集結してデモを繰り返す。
ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!
ショッカーの秘密基地では首領の部屋に幹部が集結し、緊急会議を開いているのだが……我が強く功名心も人一倍、いや、百倍な幹部たちのこと、会議は初めからまとまりを見せない。
例によって首領は姿を見せず声のみ、部分的web会議だ、それゆえ三人の内誰がイニシアチブをとるのか決まっていない。
「地獄大使、貴様がこの会議を取り仕切る気か?」
真っ先に口を開いた地獄大使に死神博士が噛みつく、未だライダーチームの面々を一人として倒せていないショッカーにあっては三人の幹部の誰を筆頭とするか、首領の裁定は下りていないのだ。
「そうアルよ、我々三人は対等の立場にあるはずアル」
「だが、誰かが取りまとめないことには議論は進まないではないか」
「最古参はワシだ、ワシが中心になるのが当然だろうが」
「それはおかしいアル、アンタは一度左遷されたアル、それまでの経歴はチャラアルよ、失敗の数の少なさならワタシが一番アル」
「それは新参者で出動数が少ないだけだろうが、前々回の『神宮球場の精霊』を読んでみろ、ライダーチームは忌々しい陰陽師だけだったではないか、魔術が売りの貴様が陰陽師一人に破れてどうする」
「アイヤー、その論理はおかしいアル、武闘派を気取る地獄大使こそライダーたちのクソ力の前に毎回毎回負けてるアル」
「マンジューの言う通りだ、少しは頭を使うことを憶えたらどうだ」
「フン、スフィンクスのネコパンチ一発で吹っ飛ぶ怪人しか造れない男が何を言うか」
要するにどんぐりの背比べなのだ、眼前の問題を他所に政局争いに終始しているばかり……。
「このバカ者たちが!」
見苦しい誹謗中傷の応酬に業を煮やした首領が吠えた。
「力を合わせてこの難局を乗り切らねばならぬと言うのにいがみ合ってばかりでどうする、このコロナ禍をどう乗り切るか、それを話し合う場だと言うのに、コロナのコも出て来ないではないか!」
ショッカーの秘密基地は基本的に合宿生活、指導的立場にある者は個室を与えられ、妻子持ちには通いも認められているが、他の大多数は大部屋での共同生活、その上連日厳しい訓練を課せられ、格闘の実習も日課になっている、相撲部屋と同じような条件なのだ、誰か一人コロナ感染者が出れば瞬く間に広がることは避けようがない。
事実、医療室は崩壊状態、感染者を一部屋に集めて隔離を図ったものの、感染者が続出している今となっては世界征服活動も自粛に追い込まれているのが現状なのだ。
しばしの沈黙ののち、フー・マンジューが口を開いた。
「いっそのこと全員感染すれば良いアル、それ以上感染拡大の怖れはなくなるアルよ」
「なるほど、逆転の発想だな……そもそも戦闘員はほとんどが二十代、感染しても軽症で済む可能性が高いな、戦闘員によっては無症状で済むやも知れん」
「な……何を無責任な事を……ワシはどうなる? 自慢じゃないが既に後期高齢者の保険証を持つ身だぞ、ワシが感染したら重篤化する可能性が高いではないか!」
死神博士が青ざめた。
「確かにな……だが、それならば貴様だけ隔離すれば済むことではないのかな?」
地獄大使はもともと死神博士とそりが合わない、口端に笑みを浮かべながら言う、
「な、なんだと? 最古参幹部たるワシをなんだと思っているのだ! ワシ抜きのショッカー日本支部など……」
「アイヤー、ワタシも地獄大使の考えに賛成アルよ、どうせ大した働きは出来ないアルからな、年寄りはすっこんでるヨロシ」
フー・マンジューもうすら笑いを浮かべている。
「ふ、ふざけるな!」
死神博士がそう叫んだ時、首領の声が冷たく、重々しく響いた。
「ワシもその考えに賛成だ、死神博士、当分の間自室で待機しているがよい」
「しゅ……首領様……」
「これは最終決定だ、地獄大使、フー・マンジュー、死神博士をつまみ出せ、自室に軟禁するのだ」
「な……離せ、ワシを誰だと…………」
死神博士を排除したのちも会議は続けられ、首領の主導の下に、ショッカーが日本の、ひいては世界の頂上を極めかねない、世にも恐ろしい作戦が決定された。
「では、会議はこれで終了とする、地獄大使、フー・マンジュー、直ちに作戦の実行に着手するのだ」
「「ははっ」」
名付けて『一億総コロナ作戦』
まずはコロナに感染した地獄大使配下の戦闘員を私服姿で野に放ち、やりたい放題の迷惑行為をさせてそれを撮影しYoutubeで配信する。
数か月に及ぶ自粛ムードには誰もがウンザリしているが、ここが我慢のしどころと考えて耐えている、しかし、それに耐えられない身勝手な者たちも当然いる、そういった者たちを扇動しようと言う作戦だ。
ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!
「オラオラ! 自粛自粛ってもう飽き飽きなんだよ! 俺たちの若いエネルギーで消費拡大を目指そうぜ! 夜の街に活気を取り戻そうぜ!」
「オラオラ! みんな! むしろ積極的にコロナに感染しようぜ! なぁに、俺たち元気な若者はかかったところで大したことにゃならねぇよ、鼻風邪みたいなもんだ、コロナがいつ収束するかなんてわかりゃしねぇ、二年、三年先かもわからないんだぜ? それまでずっとビクビクしながら暮らして行くのかよ! 俺は真っ平だぜ!」
「コロナは友達、Withコロナ、いっぺん感染してコロナ抗体を作っちまえば怖いもんはねぇぜ! 感染は自然のワクチンだ! レッツ感染! 弱い者は淘汰されて強い者が生き残る、それが自然の摂理ってもんだぜ!」
電車やバス内でマスクもつけずに騒ぐ。
『コロナ!』と叫びながら通行人に抱きつく。
街中でフラッシュモブよろしく躍り出す。
徒党を組んで騒ぎながら街を練り歩く。
居酒屋に大挙して繰り込みバカ騒ぎを繰り広げる。
果てはスーパーマーケットで生鮮食品をベタベタ触って、勝手に開封して食べてしまうなどのやりたい放題。
そもそも犯罪者集団なので逮捕も怖くない、駆け付けた警察官にも抱きついて感染させようとするので警察も迂闊に手を出せない。
ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!
「ジジイ・ババアはさっさと死んじまえ! 年金制度や保険制度はお前らのせいで破綻寸前だよ!」
「うじゃうじゃいる高齢者の年金を少ない若者で支えるのはもう真っ平なんだよ! ちっとも人生の先読みが出来ねぇぜ」
「今でさえ日本は超高齢化社会なんだ、この上超々高齢化社会なんて未来は見たくもねぇぜ!」
「これは世直しだ、コロナで世直しだ! ジジババを狙って死なせる、こいつはある意味痛快なウィルスだぜ!」
一方のフー・マンジュー・グループはプラカードを掲げ、マスクもかけずに大声をあげて無許可デモを繰り返す、解散を命じられれば蜂の子を散らすように散るが、あらかじめ示し合わせた場所に再集結してデモを繰り返す。
ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!
作品名:コロナを吹っ飛ばせ! ライダー! 作家名:ST