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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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涼子の探し物(3)

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良一君は呆気に取られたまま、すうっと床の上に起き直って、しばらくものも言わずに頭をひねっては、唸っていた。どうやら、「出来るのかどうか」、疑われているらしい。


私は、ここでもう一押しする事に、もう抵抗は無かった。こうなったらもう止める気は無いもの!





「やってみなくちゃわからない!やってみてダメだったら私も諦める!でもね、私はもう諦められないところまで来てるの!そんな話を聞いたら黙って見てるなんて私には出来ない!ね!良一君!やってみようよ!」





私は、自分の口から出てきた言葉のあまりの多さと強さ、喉から出てきた声の大きさに驚き、途中から声が震えていたけど、どんどん体が熱くなって、良一君の目の前まで顔をくっつけて、熱したまま力説していた。


本当は手を取りたいところだけど、彼には触ることは出来ないし、床に握り拳を突き立ててしまった。そこまですること無かったかも…。


良一君は一頻り叫び、床を殴ってしまた私に怯えるように身を引いていて、まだ迷っているように私を見ずに部屋のあちらこちらに目を泳がせていたけど、やがて正面を向いてくれた。





「出来る…かな…?」



「…やるわ!ここまで来たら、やるしかないもの!方法だって今から探すけど…それが見つかればもう問題は解決したのと同じよ!きっと見つかる!」



私が熱意を持って良一君を見つめ、もう一度そう言うと、良一君は初めて顔中を笑顔にして喜んでくれた。その時私は初めて気付いたけど、良一君はものすごく、かわいい顔をしていた。



「ありがとうお姉ちゃん…僕、僕…自分でも手伝うよ!」


そう言った良一君はとても嬉しそうで、目の端の涙を拭い、うきうきと肩を揺らした。半透明の幽霊なのに、すっごくかわいい。ど、どうしよう…。



もし良一君に体があったら、迷わず抱き締めてあげたくなるような笑顔だ。うーん、まあ、それは置いておいて。



「ん!お姉ちゃんに任せなさい!」





私はこれからやる事の大変さも知らずに、でもとにかくものすごく不可能に近い事だとは思っていたし、そもそも何をしたら解決なのかも分からないので、自分を鼓舞するためにも、部屋の中で天高く拳を突き上げた。それを見て、良一君はきゃっきゃとはしゃいでいた。







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作品名:涼子の探し物(3) 作家名:桐生甘太郎