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北へふたり旅 41話~45話

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 茄子は前年の11月から準備がはじまる。
11月。種苗会社から接ぎ木されたナス苗が運ばれてくる。
5センチほどのか細い苗だ。
折らないよう神経を使いながら、育成用ポットへ移植していく。

  人さし指でポットに穴をあける。
バレットから苗を取り出す。穴へ差し込み、周囲の土を根元へ寄せる。
この作業をくりかえし8000本の苗を、育苗ハウス内へならべていく。

  1ヶ月ほどでナス苗は、20㌢ほどの株に成長する。
一番花がふくらみはじめている。
1月の半ば。ナス苗をビニールハウスへ定植していく。
中腰での作業が続く。
この作業が、茄子に関わる仕事のなかでいちばんきつい。

 腰が悲鳴を上げる。太腿の裏、ハムストリングスはパンパンだ。
数日後ゴルフへ行ったが全身が筋肉痛で、自分のスイングがまったくできなかった。

 ここから茄子が実をつけるまで、さらに2ヶ月がかかる。
本格的に実をつけるのは、3月の初旬。
その間、茄子農家はまったくの無収入になる。
そのため。ホウレンソウやネギの冬野菜を、畑に準備しておく。 

 茄子はとにかく手間暇がかかる。
経費もかかるが、時間もかかる。
「お大尽が育てる野菜」と揶揄されるほどだ。

(46)へつづく