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コーンのヒーロー
コーンのヒーロー
novelistID. 446
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世界一キレイなもの

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「夕日がキレイなのは、そう思う僕達の心がキレイだからさ」

 彼女は目を細めた。

「私はキレイじゃないわ」

 僕は立ち止まり彼女に向き直った。

「キレイだよ、君は世界中の誰よりキレイだ」

 僕は夜の闇に紛れるように黒い彼女の髪に触れた。

「見た目がじゃないよ、僕はそんな陳腐な台詞は嫌いだ」

「分かってる」

 彼女は微笑んでから空を見上げた。

「月だわ」

 僕も同じように空を見上げた。

「月だね」

 僕達は暫く無言で空を見上げていた。
 彼女は微笑んだ。

「あの月、とってもキレイ、あれを醜いだなんて言えないわ」

 僕も微笑んだ。

「そうだね、とってもキレイだ」

 彼女が僕の目を見つめて言った。

「世界はキレイなものが沢山、でもその中でも、あなたが一番キレイよ」

 僕も負けじと言い返した。

「僕には君が一番キレイに見えるよ」

 僕達は二人笑い合った。



 人間がちっぽけで弱い生き物だなんてちっとも思わなかった。
 ほら、僕達はこんなにも強く、気高く、美しい。