小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

百代目閻魔は女装する美少女?【第五章】

INDEX|1ページ/4ページ|

次のページ
 
「よし、質問に行くぞ。次は誰だ。」
 政宗は無表情。といっても、眼帯で右目を覆い、左目は前髪で隠れているので、顔が見えない。
「この秀吉が猿と言われた知恵を振り絞って考えたものだ。ヒデと呼んでくれ。」
 秀吉。小柄で痩せたイメージがあるが、そんなことはない。がっちりとした筋肉質のいわゆる痩せマッチョの出で立ちである。やはり額には『秀』と書いてある。
「ほほう。それは楽しみだ。で、いったいなんだ。」
「ファーストキスは誰とやった?」
『ガタガタガタガタ~』他の3人のイケメンが一斉に倒れた。そんなことは気にせず、回答は始まる。
 美緒。
「キス?アダムとイブはご先祖さまだ。」
 意味不明。
「「「「神々しい。」」」」
 絵里華。
((うちはこの本体と毎日。))
 それってファーストキスなのか?
「「「「人形になりた~い。いや憑依でもするか。」」」」
 ちょっとやばそう。
 由梨。
「セレブなんだから、たくさんのジェントルマンから頂いているわ。そんなの、多すぎて覚えてないわ。」
 嘘である。
「「「「ツンデレ~萌える~。」」」」
 つまらないところで萌えるのはやめてほしい。
 万步。
「まっほは、3歳の時に、たけしくん、しょうくん、たいようくん、しんごくん、つよしくん、とおるくん・・・」
これも意味なく長いので、ストップ。これって養護施設のみんなとでは?という疑問。
「「「「そ、そんなにしているのかああああ~。俺たちにも寄こせ~。」」」」
 まさにゾンビの叫び。でも意味ない。
『バリバリッ』またも破裂音が。でも何か不明。
「それではネクストバッターは誰かな。」
「この家康がつかまつろう。」
 家康もデブなオヤジではない。額に手をやる家康。『家』は太く、目つきのシャープな、抜け目のないタイプに見える。三つくらい先のことを考えていそうだが。
「将来の夢は?」
 確かにかなり未来のことであるが、陳腐。
 美緒。
「神として統治する。」
「「「「天下以上のことだあああああ~。」」」」
 かなり四人を刺激したようだ。これだけは天下を目指す者を表している。
絵里華。
((うちはフィギュア王国建設どす。ハーレムどす。))
「「「「それでこそ、世界のアキバ。AKB文化で世の中を支配するんだあ。」」」」
 次元は異なるが、ベクトルは正しい。
 由梨。
「あたしは世界セレブ大会出場することね。まあ楽勝だけど。」
「「「「えせセレブいいぞ~。」」」」
 さすが天下人。すでに由梨が影武者であると見抜いたようだ。
 万步。
「まっほはスイーツの家に住むことだよ。」
「「「「ファンタジー。夢見る少女だあああ。」」」」
 アイドルルンルン。
『ビリビリビリ』。今度はさらに大きく響いた。信長たちがわいわいやっているので、美緒たちには聞えなかったらしい。
「さあ、最後の質問だな。光秀、しっかり決めてくれ。」
 政宗は拳を握りしめている。感情表現はそこにあるようだ。
「おう。さわやかな男子のこの光秀、誰も文句のでないようなクエスチョンをしてやるぜ。」
 『光』と記された眉間は鈍い輝き。少し吊り目で神経質そうな顔つき。眼鏡を装着したいかにも秀才タイプである。目がほんの少し曲がっているところがエロい。光秀は大きく息を吸って吐いた。気合いが入っている。切れあがった唇から空気が発せられた。
「バストサイズは?」
『どどどどどどどどどど』。何かが崩れた。
美緒。
「こんな質問に答える義務はないが。でも神である以上回答しよう。ハチジ・・・」
「「「「ゴクン」」」」
「八丈島に遠島申しつける。」
「「「「なぜだあああああ。」」」」
 やはり質問の内容が悪かったのか。
絵里華。
((うちは85どす))
「「「「おおおおお。お嬢様なのにすげえ。」」」」
四人のイケメンが盛り上がる。お嬢様という雰囲気を見抜くのはさすがだ?
((ぐらいのフィギュアがいいどす。))
「「「「なんでえ。自分のサイズじゃないのかよお。」」」」
 クレームの嵐となった。クーリングオフは8日間。
万步。
「まっほは元々アイドルだからスリーサイズ公開しているよ。」
「「「「・・・」」」」。ゴクン。今度こそ期待できる。
「最近測ってない。」
「「「「どうして測っていないんだあ!」」」」
 大変なブーイングとなった。
「「「「あ~あ。誰も教えてくれなかった。残念。終了だ。」」」」
 打ちひしがれた信長たち。
「「「「・・・・・・。」」」」
由梨。
「どうしてあたしには聞かないのよ!」
 怒って、ツインテールを振り回す由梨。でも誰からも声がでなかった。
『ベリベリベリベリ』。何かが崩れるような振動。今度はみんなに聞えた。
「いったい何だ、これは。」
 美緒は音の聞えた方向、つまり、信長たちを指した。
「「「「やべえ。剝げちゃった。」」」」
 そこにはイケメン武将は存在しなかった。彼らの足元には顔パックの残骸。視線を上に移すと、多数のフォッサマグナが走る、荒涼とした肌。いや肌というよりは赤土の関東ローム層というべきか。人生の終焉を迎える老人のグループ。醜悪である。
「この神がだまされた。屈辱。」
((絵里華の夢が崩れたどす。))
「あたしの3サイズも聞かない連中なんかどうでもいいわ。」
「まっほ、久しぶりにイケメンに会えたのに。やっぱり整形だね。」
 あれって、整形というよりは『成型』だが。
 美緒たちが大騒ぎする中、政宗はじっとしている。相変わらず、容貌は見えないままであるが、冷静であるのは見て取れる。そしてゲームの転換を言明。
「よし、武将チームから質問終了だ。女子どもから質問を開始するぞ。」
 これを受けて美緒が即答。
「我々からオヤジには聞くことなし。」
「質問攻め終了。」
声高らかに政宗は宣言した。
「ゲームが終わったなら、真のバトルにいってもいいんだな。ぺろり。」
美緒は舌舐めずりをした。ヨダレも出かかっている。もしかしてバトルマニアなのか。
「よし、お前たちは下がれ。」
 政宗は後ろに向かって言葉を発した。
「「「「どうして俺たちが命令されるんだ。政宗はただの大名じゃねえか。」」」」
 ぶつぶつ言いながら、信長たちは引き下がってしまった。
「おかしいぞ。やつらバリバリの武将だろう。どうして戦わせないのだ。こちらはストレスが溜まっているんだが。」
 ソッコー美緒が苦情を述べた。
「ヤツらを見ろ。あの年だ。それに、そもそも戦国時代の大将というものは身なりは豪華に着飾っているが、自分で戦うことなどあり得ない。大将のところまで兵士が来た時はすでに敗北している。お前たちと戦っても負けるだけだ。」
 政宗の説明はもっともである。
「じゃあ、ここに神たちが来た意味は何だ。」
 美緒の額は『疑』となっている。
「戦うのはこの俺ひとりで十分だ。」
 政宗は黒いマントを翻すようにして、脱ぎ棄てた。その下から現われた黒ずくめの衣装。とくに甲冑とかを身につけているわけではなく、なぜか学ランであった。背中には登り竜の絵。詰襟がしっかり締めてある。男子生徒会長っぽい。しかし腰にはしっかりと大太刀が差してある。柄の部分には薔薇の刺繍が施されている。