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ひなた眞白
ひなた眞白
novelistID. 49014
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響くがままに、未来 探偵奇談22 前編

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藪の中に、夜の帳が下りている。ぽつんと佇む小さく粗末な庵の中で、四つの影が揺らめく。囲炉裏の火を囲み、彼らは言葉を交わしていた。

作務衣の少女と、少年と、小柄な老人と、そして巨大な男だった。

「こうなることはわかっていたはず」

少年が呟く。

「見過ごした我らにも責はある。やはりあれは、許してはならぬ運命の持ち主であったのでは?」

それはどこか咎めるような口調だった。それを制するように、老人がやんわりを口を挟んだ。

「しかしあれは言うておったのう。人間の想いは、いろいろなことを動かすと。理屈や理で動かせるものではないと」

どこか楽しそうな口調だった。ほほほ、と笑いながら、老人は茶をすすった。

「わしらの役目は、人々を正しい場所へ導くこと。しかしその正しさは千差万別、人によって様々じゃ」
「我がままで他者の運命を振り回すことも正しさだと?」

少年は老人の言葉を快く思っていないようで、尖った口調で返している。

「…われには、わかる。瑞の気持ちがわかる」

作務衣の少女が呟く。少女は他の三人よりも、深く人と関わってきた。好きだ、嫌いだ、一緒にいたい、離れたくない、悔しい、悲しい、憎い…そんな感情に、一番近い存在だった。

「人の思いは強い。我らがこうして、たった一人の魂に振り回されているのがその証左。童子よ、そなたも気づいておるのではないのか。我らはもっと、彼らに寄り添ってもいいのではないかと」