黄昏クラブ
真紀理は笑った。
学園祭のメイン行事であるライブも終わり、私はやっぱり部室へと足を向けた。ちょうど部室の前で、黒味彩也香と鉢合わせする。
「あ、ヌシ先輩」
「黒味」
鍵を開けて、二人で中へ入る。「昨日は忘れてたけど、これ鍵ね」
「ああ、はい」
彩也香が鍵を受け取る。「これで、マジで私がヌシになるのか……」
「悪いけど、合鍵作ったから」
「合鍵?」
「私も、卒業まではここを使わせてもらう」
「えー?」
彩也香が大げさに声を上げる。「それじゃ、今までと変わらないじゃないですか!」
「変わるわよ。だって私はもう部長じゃないんだし。――でもね、家がややこしいから、勉強部屋として使わせてほしいだけ」
「なんか、マジで騙された感じ」
「卒業までのことよ」
「私、ヌシ先輩の存在感には勝てそうにない」
「黒味、私を何だと思ってるのよ」
私は笑みを見せる。
「その余裕の笑いが怖い」
「怖いとか言うな」
それには、彩也香も笑った。