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北へふたり旅 36話~40話

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 特級や一級には、高い税金が課せられる。
ぜいたく品に高額の税をかける。いかにも昭和的な発想だ。
そのため審査に出品しない清酒が、5割をこえた。
とうぜんランクは規格外。
これらの酒は「二級」のラベルを貼ることになる。

 審査に出ていないから、「二級」。
こうして「特級」よりうまい二級酒がちまたにあふれた。

 級別制は国家権力による不当表示、詐欺の強要だと消費者連盟が告発した。
この告発に大蔵省は、沈黙絶句したという。
ついに非を認めた。
今度は、吟醸酒・大吟醸酒・純米酒・吟醸純米酒・本醸造酒などの、
わかりにくい表示が導入された。

 「草のはなしへもどそう。いくら抜いてもよ。
 どれだけ丁寧に刈りとっても、草はかならず生えてくる。
 根が残っているうちは駄目だ。
 完璧に処理したと思っても、翌日には新しい芽が出ている。
 草とのいたちごっこに、多くの農家が疲れている」

 群馬は真冬になると、赤城山から乾いた風が吹き降りてくる。
これが『かかぁ天下』とともに有名な、上州の空っ風(からっかぜ)。
平均で毎秒10mの風がふく。

 この風が畑の土をまきあげる。
さらさらの土が道路を横切る。
黄色い砂塵がカーテンのように空をおおうこともある。

 道路の縁石のふちへ、風に運ばれた砂塵が数センチ積みあがる。
雑草はこれで充分。風にはこばれてきた草の種がここへ根を下ろす。
春がやってくる。いの一番に草の芽が出る。

 草は、少々の乾燥ではへこたれない。
雨の翌日。かれらはいっきに元気を取り戻し、背丈をさらに延ばす。
夏真っ盛り。雑草の垣根ができあがる。
わたしが散歩する4車線バイパスの歩道には、背丈1mをこえる草花が
見事なまでにつらなっている。

 「雑草の成長は速い。野菜なんかまるで勝てん。
 芽を出したホウレンソウやキャベツは、あっというまに
 雑草にかくれちまう」

 野菜を傷めないよう、手で草を取り除いていく。
畑仕事の大半は、草むしりじゃないかと思うほど手間暇がかかる。
抜いても抜いても、つぎからつぎ生えてくるからだ。

 「誰だって解放されたいさ。
 草退治は厄介だからな。
 手っ取り早く片づけるならやっぱり、除草剤の散布だな」


(41)へつづく