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この対談で平沢の冤罪の証拠など、ひとつも出ていないだろう。強いて挙げれば「最初の面通しで11人中6人が『違う』と言った」というくらいが無実の根拠と言えるかもだが、それ以外は遠藤が、
『僕会ってないからわからないんですが、当時の捜査主任の成智英雄という警部が書き残した手記によると、(諏訪中佐は)帝銀事件の生き残り証人の言う犯人の人相、風体、骨格にピタリ一致した男だそうです』
といった話をただ並べているのに過ぎない。
 
画像:のほほん人間革命260-261ページ
 
19.自分の本で書きましたが、本当にそう
「本当にそう」どころか、完全に間違った考えだとおれは思う。「自分は死ぬまで罪を犯さないと断言できる人」がいたらそいつはサイコパスだ。おれにはこの遠藤誠という〈怪物弁護士〉はまさに怪物、「自分はいくら酒を飲んで運転しても事故など絶対起こさない」と断言していたやつが、後になって「だからワタシが轢き逃げやったなんていうのは冤罪だ。どこまでも戦ってやる」なんて怒鳴りたてるのと同じ種類の人間なのだとしか思えない。オーケンは文庫版のあとがきに、遠藤のことを「戦う人です」と書いてるけど、本当にそうかもね。
 
というわけで、今回の話がたのしんでいただけましたなら次の作などどうかよろしく。題名通り、無差別毒殺魔ならぬ通り魔が町にやってくる話ですけど。
 
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作品名:端数報告 作家名:島田信之