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端数報告

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だから平沢はそうしているのだ。高木ブーも遠藤誠のことこまかな解説に書いてる通り、第一審の公判に立会ってんなら気づけよって話だ。東大法学部なんか出ててもよくよく無能だったんだろうなと思うが、しかし八兵衛が調べていれば、すぐに気づいて言えたのではないだろうか。
 
「おかしいだろう。8月の暑い真っ昼間に、120枚も札が入った財布をスられて、どうして気づかず歩き続けられるんだ? これがおめえの言ってることが全部嘘だって倉庫だよ」
 
と。この点を脚で歩いて調べたのは八兵衛自身なのだからだ。そのときに平沢は、〈重い自白〉をするしかなくなったのではないか――あくまで〈ひょっとしたら〉だが、おれはそう思うのである。
 
とまあ、そういうわけで今回のこの話をたのしんでいただけたなら、次に置きます私の作はいかがでしょう。題はこんなですけれど、実はこれも刑事が目をつけた容疑者を落とそうとする話です。
 
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作品名:端数報告 作家名:島田信之