このコーヒーを飲み終えたら
ドアの隙間から、朝日が差し込む明るい室内に目をやると、
(あ、あれは)
勉強机の上に置いてあるメール便の箱を見つけた。
達也は、慌てて室内に入り、机の上の箱を掴んだ。しかしそれは開封されていて、中身は空だった。すぐに荷物の差出人を確認した。
(本城奈美恵。間違いない彼女だ。日付も先週のもの。・・・・・・間違いなく本城奈美恵から隆志にプレゼントが送られてきている。じゃ、隆志は生きているのか? じゃ慰霊碑に刻まれた名前は何だったんだ!?)
そう思いながら、部屋の周囲を見渡したが、箱の中身らしきニット帽は見当たらない。
(本城奈美恵から送られてきたプレゼントはどこ? あの銅像のと同じ・・・)
達也はハッと顔を上げた。カウンセリングのメンバーは、どうしているのか。
(町田先生に確認すれば判ることだ)
そのまま、家を飛び出した。
作品名:このコーヒーを飲み終えたら 作家名:亨利(ヘンリー)