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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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このコーヒーを飲み終えたら

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達也はリビングを見渡した。先週の小包はこの辺りには置かれていない。
「もう受け取ったと思うよ。ニット帽」
(もう暖かくなってきたのに、今の子は季節感なくニット帽をかぶるんだな)
「一生懸命編んだんですよ」
「まだ寒い日には使うんじゃないかな。コーヒー入れようか」
「大丈夫です」
(ほら、また)
「隆志とクラス一緒なの?」
「ううん。違う学校」
本城奈美恵は、スマホの画面を見たままで話した。
「え? じゃ、どこで知り合ったの?」
「これ」
持っているスマホを少し持ち上げて言った。
「スマホ?」
「SNS」
「あ、そう・・・」(出会い系とかじゃなくって、コミュニティサイトみたいなとこかな。時代だな)
「本城さんの家はどの辺りなの?」
「高宮です」
「ああ、脱線事故があった近くだね」
「・・・・・・」
「最近、その事故に巻き込まれた人たちと会うことがあってね。皆トラウマになってて、大変みたいだったよ。地元の人は皆、大丈夫?」

 ☆バタッ! 突然立ち上がる本城奈美恵。
「やめて! その話はしないで!!!」

 その瞬間、2階で『ドタン!』と音がした。
(あ、誰かいる?)達也は階段を見た。
バタバタと足音を立てて、ものすごい形相をした紗英が下りてきた。
「何よこの子は!? どうして家に入れたのよ!!」
本城奈美恵は、その紗英を見て、後ずさりをし始めた。そして玄関に向かって走り出し、そのまま外に走り出た。あまりのスピードに(靴は履いたのか?)と思った達也が確認に行くと、玄関土間には、彼女の靴はなかった。
「どうしたんだよ」
そう言いながらリビングに戻ると、紗英が怒った表情で、
「何考えてるのよ! あの子を引き入れるなんて! 最低!」
「僕は何も、変な気は起こして・・・」
紗英はまた、ドタバタと音を立てて、2階に戻って行った。達也は静かになったリビングに立ち尽くし、
(2階にいたのか・・・)