このコーヒーを飲み終えたら
プロローグ
>>>>> ピピピ・ピピピ・ピピピ <<<<<
◆ニュース速報~~~17:32分頃、多賀電鉄 高宮駅付近で、下り快速列車が脱線。死傷者多数の模様~~~~~
********************
雪が降るその日、事故現場は(地獄絵図という言葉が相応しい)と言わざるを得ない状況だった。
何十台もの救急車やパトカー、消防車まで、帰宅ラッシュの幹線道路にあふれ返り、呼気が白く上がる中、人々の怒号が響いた。
「一体何人怪我人がいるんだ?」
「50人以上だ。怪我の程度で優先順位を付けるぞ」
「寒い。助けてくれ!」
「今救急車が来ます。しっかりしてください!」
「こっちに人が挟まれている。血が止まらない」
「救急隊員を呼んで!」
「電話をかけさせて。お母さんに電話・・・」
「病院に呼びますから、今は動かないで!」
「ああーーおかあさん・・・」
「他にも人が残ってないか調べるんだ!」
「車両はペシャンコだぞ。近付くと危ない」
「まだ中から声が聞こえるんだ!」
「だめだ。手に負えない」
「つべこべ言うな! 生存者を保護するんだ!」
「でももう、何人死んでるんだあ!!!」
********************
作品名:このコーヒーを飲み終えたら 作家名:亨利(ヘンリー)