メタだ! ライダー!
「もう!……厄介な怪人ね!」
「ははは、どうだ、手も足も出まい…それそれ、連続唾吐き攻撃だ、奴らを陽性にしてしまえ!」
「飛び道具を持ってるのはライダーマンだけじゃない、あたしにだってクナイがあるわよ! 食らいなさい! あっ」
「だめだ、こいつ、相当にすばしこい」
「当てるのが無理なら、当たってもらいましょう」
「どういうことだ? レディ9」
「こいつを晴子ちゃんがいる方へ」
「それは危険だが……何か作戦が?」
「ええ、もちろん、晴子ちゃんのガードも万全」
「よし、やろう!」
ライダーマンのロープアーム、レディ9のクナイ攻撃、どちらもすばしこいキクガシラコウモリ男には命中させられず、唾吐き攻撃も飛沫にすら当たらないためには大きくよけなければならない、苦戦を強いられる二人だが、次第に誘導に成功し始める。
「くそう……どうした? キクガシラコウモリ男、飛沫も当てられんではないか……ん?」
その時死神博士の目に留まったのは無防備に立っている晴子の姿。
「キクガシラコウモリ男! まずあの邪魔な陰陽師からやってしまえ! あいつはすばしこくないからな!」
晴子に目標を定めたキクガシラコウモリ男は、真っ直ぐ晴子に向かって飛び、唾を吐く!
「ムダよ」
晴子の背後から現れたのはお雪、雪女最大の武器、吹雪を吹きかける、目に見えないウィルスでも一瞬で凍り付く超低温だ。
「危ない! キクガシラコウモリ男! 吹雪を避けろ!」
急旋回したキクガシラコウモリ男、しかしその瞬間、視界が真っ白に……。
「あああっ! キクガシラコウモリ男ぉぉぉぉぉ!」
キクガシラコウモリ男(ふう、長い……)が旋回した先に突然現れた白壁、言わずと知れたぬりかべだ!
「ぎゃっ!」
ぬりかべに激突した長い名前の怪人はしたたかに頭を打ちつけ、どさりと落下した。
「空気感染の可能性も捨てきれないからねぇ……」
音もなく滑るように近寄って来たお雪が息を吹きかけると、長い名前の怪人は冷凍キクガシラコウモリ男になってしまった。
「ありがとう、ぬりかべ、いくら漆喰で出来ているからと言っても、君も消毒しておいた方がいい」
ライダーマンはアタッチメントを交換すると、アルコール消毒液をぬりかべに吹付け、ぬりかべも気持ち良さそうに目を細めた……。
ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!
アジトに戻ったライダーチーム、手洗い、うがい、消毒を済ませ、代わる代わるシャワーも浴びて寛いでいる。
「今回、俺たちは蚊帳の外だったな」
今回は戦闘に参加できなかったライダーとマッスルは残念そうだ。
「仕方がないわよ、作者さんは一度に大人数を扱うのが苦手だから」
「そう言えば全員の活躍を書こうとする時は、局面を分けて書いているな……」
「……それが何か?」
「あら、作者さん、いつの間に?」
「私はいつでも神出鬼没ですよ、なにしろライダーシリーズの世界は私の手の中にあるんですからね」
「確かに……」
「次回、最終回をお楽しみに」
「「「「「ええええっ!」」」」」
「……てなことまで、私の筆先一つですからね、今のは冗談ですが、老眼だとか太目だとか、ましていい加減だとかご都合主義だとか言わない方が良いと思いますけどね」
「はい……肝に銘じておきます……」
「よろしい……言いたいことは言いましたから、私は私が住む世界へと戻ります」
「自由に行き来できるんですね」
「ええ、まあ、メタボリックですから……では……」
そう言い残して、作者は霧のように消えて行ったが……
「……今、自分でメタボリックって言わなかった?」
「言ったな」
「ああ、聞いた」
「あたしも」
「ワシも聞いたぞ、ライダーマンは?」
「聞きましたよ、でも多分言い間違いでしょうね」
「本当はなんて言おうとしたんだろう?」
「多分、メタフィクションとね」
(終)
作品名:メタだ! ライダー! 作家名:ST