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ふしじろ もひと
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novelistID. 59768
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『封魔の城塞アルデガン』第3部:燃え上がる大地(後半)

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 厭わしかった、呪わしかった、おぞましかった。
 だが、この軋みが、苦しみがいつまでも続くとしたら……。
 耐え難い恐ろしさだった。

”苦しみから解放されるには、やはり誰かの手で解呪されるしかない”
 ゴルツの末期の言葉がよみがえった。
”せめて、その日がすみやかに来ることを祈らせたまえ……”

 アラードはいつ来てくれるの?
 解呪の技を修めることができるの? できなかったら?
 私のことなど忘れてしまったら?

 ……死んでしまったら……?

 足下にぽっかり虚空が口を開けたのをリアは感じた。深淵から冷たい虚ろな風が吹き上げた。
 人間の魂など永遠というものに耐えられはせぬ。深淵からの、虚ろな風がそう告げた。
「アラード! 助けて、早く! 誰か……っ」
 天を仰いでリアは叫んだ。だが、その悲痛な叫びは酷薄な風に吹き散らされた。
 はるか背後の北の大地は荒野を焼く炎に赤く、魔物たちの群がめざす南の大地はいまだ暗黒に閉ざされている。では炎がいずれ燃え尽きたなら、全てはもはや暗黒に呑まれるだけなのか。
 リアはひとり天地の狭間に立ちつくし、ただ深淵と虚ろな風に心おののかせるばかりだった。