きみの見る世界【詩集6】
あの日の海
遠くの水平線を見ながら
波打ち際をそぞろ歩く
あの海の向こうにあるものは何だろう
足元を濡らす海は無感動に
ただ繰り返し繰り返し寄せては返す
人の心など知らぬげに
誘うように空を雲が流れていく
ゆっくりとゆっくりと
暮れゆく夕日の赤い炎に目を奪われ
ほおをなぶる風を感じながら海鳥の声を聞く
もうすぐ日が落ちる
あたりは間もなく宵闇に包まれるだろう
あと少し、あと少しだけでいいから待って欲しい
わずかの間でもいい、時が止まればいいのに・・・
つるべ落としの夕暮れは私の感傷など関係ないとばかりに
もう背後に迫っている
作品名:きみの見る世界【詩集6】 作家名:maki