オヤジ達の白球 81話~最終話
「うふふ。
素晴らしさに気が付いていないのは、しろうと監督の大将だけです。
さて、それではこんどこそ、試合開始といきましょう。
消防さんもしびれをきらして待っていますから」
おう。頼むとぜと祐介がベンチへ引き上げていく。
監督がベンチへ座ったのをたしかめたあと、主審の千佳がマウンド上の
坂上へむかい「プレィボ~ル」と、ひときわたかい声をはりあげる。
目元をぬぐった坂上が、身体を前へ傾ける。
ボールを握った指先に力がこもる。
(待たせたな慎吾。
今度こそ本気で行くからな。しっかり受けてくれよ)
(待たせすぎです、坂上先輩。
それはともかく、今夜は本気で、おもいきりゲームを楽しみましょう)
「お~い、みんな。打たせるぞ!。
しっかり守ってくれよ!」
慎吾の大きな声がグランドを響き渡る。
「おう。打たせろ、打たせろ。
おれのところへ打たせろ。ぜんぶアウトに取ってやる」
内野と外野から、つぎつぎ男たちの元気な声がかえってくる。
(完)
作品名:オヤジ達の白球 81話~最終話 作家名:落合順平