オヤジ達の白球 76話~80話
「いつになるのか、まったく予定はわかりません。
県が提示してきた条件は、もとどおりの規模でハウスを再建することです。
縮小するのであれば補助金は出ないそうです」
「元通りの規模にハウスを再建することか。なんとも厳しい条件だな。
農家の中心世代は、60歳代の半ば。
後継者が居れば別だが現状では、ほとんどの野菜農家に後継者はいない。
これを機会にハウスの縮小を考えている農家もおおいだろう。
高齢化がすすみ過ぎているからな」
「シルバー世代がパートで働いていますが、それも間もなく
先細りになるでしょう。
そのうち外国人労働者と海外研修生があふれてきます。
そうなることを見越して、ハウスを再建する農家があるのも事実です」
「海外からの働き手か。
そこまで人手が不足しているのか、日本の農業は・・・」
「きつい仕事は敬遠されますからね。
それに、休みもない。
最盛期になれば朝6時から収穫をはじめます。
さらに出荷のための荷ごしらえ。
出荷がおわれば、ハウスへもどりキュウリの手入れ。
3ヶ月から4ヶ月の間、まったく休みの無いそんな生活がつづきます。
週休2日に慣れた若者に、農家の仕事なんかさいしょから
眼中にありません。
戦力になるのは、海外からの働き手です」
「おまえも受け入れるのか?。海外からの働き手を?」
「来年。ベトナムから研修生が2人やってきます。
しかし。ハウスの再建は間に合わないでしょう」
作品名:オヤジ達の白球 76話~80話 作家名:落合順平