ビキニスタイルのお嬢さんたち
(どうしよう……)
優奈はタンスを開けたり閉めたりして落ち着かない。
明日は海水浴に行くことになっている、男女二人づつのグループで、別にカップルではないので合同デートと言うわけでもないのだが……。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「期末試験終わったらさ、海行かねぇ? 海!」
「そんなこと言って、あたしの水着が目当てなんじゃないの?」
「いけねぇ? だって見たいじゃんよ、亜紀ってナイスバディだしさ」
「うん、正直でよろしい、そうまで言うんなら良いよ、でも二人きりじゃちょっとね……」
小さい頃からずっと仲良しで積極的な亜紀が、ひょうきん者で人気の亮太と約束してしまったのが事の発端、優奈も一緒に行くことになってしまった……。
そりゃ、亜紀は高二とは思えないくらいのナイスバディだから良いけどさ……同じ『高二とは思えない』でも小っちゃくて貧乳で、中学生と間違われるあたしはどうなるのよ……。
それにちょっと……と言うよりもだいぶ気になっている宏明も一緒だ、宏明は亮太と仲が良いけど亮太みたいなお調子者じゃなくて、笑顔で周りを明るくするタイプ、それほどイケメンってわけじゃないけど笑顔が人懐こくて、爽やかで……。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「これが良いよ、優奈これにしなよ」
「え~? 大胆過ぎない? これってビキニじゃない……」
「デザイン可愛いじゃん、小っちゃいリボンとかついてて」
「それにピンク色って……」
「優奈ってさ、私服地味じゃない? たまには冒険してみなよ、大胆になれるよ」
「そ、そうかな……?」
「それに優奈にピンクは絶対似合うって」
「ホントに……?」
「男子の目がハートになっちゃうよ、マジで」
そもそも一学期の期末試験が終わったその日に水着を買いに行ったのがいけなかったのよね、試験勉強から解放されて気分も開放的になってたから……つい……。
亜紀にそそのかされるままに買ってしまったピンクのビキニ……期末試験が終わって週末までの三日間、優奈はタンスを開けては新しい水着を見て、それを身に着けた自分の姿を思い出しては閉めて、でもやっぱり気になって開けて……そればかり繰り返している。
やっぱり布地の面積小さすぎるよね……。
新しい水着のボトムは腰骨に引っかけて着るタイプ、腰のとこなんか幅が五センチくらいしかない……せめておへその下あたりまであれば……そしてトップは三角形の部分以外はほとんど紐……せめてもうちょっと三角形が大きいのにしておけば良かった、谷間もないのに……。
あ~あ、ウジウジしているうちに、海に行くの明日になっちゃった、もう買い直すのって間に合わないよね、第一貯金もあんまり残ってないし……スク水にしようかな……でもせっかく買ったんだし、海でスク水って、小学生じゃないんだし……イマドキ小学生でも海でスク水なんか着てないよね……。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「あ、優奈、お早う!」
「オハヨ……」
「なんか元気ないなぁ、これから海行くって顔じゃないよ、こんなに天気も良いのに」
「だって……」
「あ、水着のこと? 心配ないって、絶対似合うから」
「そうかなぁ……」
優奈が住む町から最寄りの海水浴場まではバス一本で三~四十分、亜紀は家も近所で幼なじみだからバス停で待ち合わせた。
そして三つ目のバス停で……。
「あ、亮太、宏明、こっちこっち」
「お、亜紀、お早う、水着、楽しみにしてるぜ」
亮太と……亮太はどうでもいいんだけど、宏明も同じバスに乗って来た。
「ねぇねぇ、聞いて聞いて、優奈、新しい水着買ったんだよ」
「へぇ、どんなの?」
「ピンクのビキニ!」
「おっ、良いね! 楽しみ楽しみ、な? 宏明」
「あ、ああ……」
「なんか気のない返事だな、見たいだろ?」
「そりゃぁね……」
念のためにスク水もバッグの底に忍ばせて来たけど……もう後に引けなくなっちゃったじゃない、亜紀のバカ、お調子者……恥ずかしくって顔も上げられないじゃない……。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「やっぱそれ、優奈に良く似合うよ、可愛いじゃん」
「……」
更衣室で亜紀にそう言われても、全然ピンと来ないよ。
亜紀の水着もビキニ、あたしのと形も面積も大体一緒だけどオレンジ色の地に真っ赤で大きな花がプリントされてるやつ、派手って言えば派手だけど南国って感じで良い、明るくて元気な亜紀に良く似合ってる。
でもCカップか、もしかしたらDカップあるかも知れない亜紀とハッキリクッキリAカップのあたしじゃ、同じような形の水着着ても全然違って見える、亜紀は谷間ばっちりなのにあたしはスカスカでうっかりかがんだらポッチが見えちゃいそうだし、亜紀はお尻にボトムが食い込んでるけどあたしは全然だし……。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「お~! 亜紀、すげぇじゃん! 海に来て良かった~!」
「バカ、あんたのために着てるんじゃないよ~だ、イケメンの大学生かなんかいないかなぁ、ナンパされてみたいなぁ」
「そりゃないよ、一緒に海入ろうぜ」
「まあ、とりあえず亮太でガマンしといてあげる」
二人が手を取り合って海に向かっても、優奈はバスタオルを肩から掛けて、レジャーシートから立ち上がれないでいる。
「俺たちも行こうよ、海」
「でも……」
「その水着さ……可愛いよ、似合ってる」
「胸も全然ないのに?」
「亮太は大きければ大きいほど良いとか言ってるけどさ、男がみんなそうだってわけじゃないぜ」
「そうなの?」
「小さくて華奢な娘が良いって男もいるよ……俺みたいにさ」
「え?」
「せっかく海に来たんだからさ、行こうぜ」
「う……うん」
宏明が手を差し伸べてくれたから、あたしもなんか自然に手を重ねられた。
そのまま手を繋いで海まで小走りに……良いな、こういうの、宏明とカップルになれたみたいで。
そして腰辺りまで海に入った時……。
「きゃっ」
ちょっと大きな波が来てよろけちゃった、そしたら宏明が背中に腕を廻して支えてくれた、ほとんど丸出しの背中に……。
すると……。
「大丈夫?」
「う、うん」
「あのさ……俺……」
え? なになに? 宏明ったらすっごい真剣な顔……。
「入学式で優奈を見かけた時から気になってたんだ、でさ、亮太と亜紀があんな感じだろ?優奈と一緒に過ごすことも増えてさ、一緒にいればいるほど、優奈のことがさ……その……好きになって行ったんだ……」
え? マジ? これって告られてるの?
「良かったら付き合ってくれねぇ? 優奈とカップルになりたいんだよ、俺……」
え~っ? ホントに? これって夢とかじゃないよね……。
「だめ?」
「だめなわけない……あたしも……好き……」
きゃ~っ! 言っちゃった、でも宏明から先に言ってくれたんだもんね、これで良いんだよね?
え? 反対の腕も背中に廻って来て……これって抱きしめられてる? こんなに肌が出てる水着で?……でも……なんか……幸せ……。
優奈はタンスを開けたり閉めたりして落ち着かない。
明日は海水浴に行くことになっている、男女二人づつのグループで、別にカップルではないので合同デートと言うわけでもないのだが……。
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「期末試験終わったらさ、海行かねぇ? 海!」
「そんなこと言って、あたしの水着が目当てなんじゃないの?」
「いけねぇ? だって見たいじゃんよ、亜紀ってナイスバディだしさ」
「うん、正直でよろしい、そうまで言うんなら良いよ、でも二人きりじゃちょっとね……」
小さい頃からずっと仲良しで積極的な亜紀が、ひょうきん者で人気の亮太と約束してしまったのが事の発端、優奈も一緒に行くことになってしまった……。
そりゃ、亜紀は高二とは思えないくらいのナイスバディだから良いけどさ……同じ『高二とは思えない』でも小っちゃくて貧乳で、中学生と間違われるあたしはどうなるのよ……。
それにちょっと……と言うよりもだいぶ気になっている宏明も一緒だ、宏明は亮太と仲が良いけど亮太みたいなお調子者じゃなくて、笑顔で周りを明るくするタイプ、それほどイケメンってわけじゃないけど笑顔が人懐こくて、爽やかで……。
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「これが良いよ、優奈これにしなよ」
「え~? 大胆過ぎない? これってビキニじゃない……」
「デザイン可愛いじゃん、小っちゃいリボンとかついてて」
「それにピンク色って……」
「優奈ってさ、私服地味じゃない? たまには冒険してみなよ、大胆になれるよ」
「そ、そうかな……?」
「それに優奈にピンクは絶対似合うって」
「ホントに……?」
「男子の目がハートになっちゃうよ、マジで」
そもそも一学期の期末試験が終わったその日に水着を買いに行ったのがいけなかったのよね、試験勉強から解放されて気分も開放的になってたから……つい……。
亜紀にそそのかされるままに買ってしまったピンクのビキニ……期末試験が終わって週末までの三日間、優奈はタンスを開けては新しい水着を見て、それを身に着けた自分の姿を思い出しては閉めて、でもやっぱり気になって開けて……そればかり繰り返している。
やっぱり布地の面積小さすぎるよね……。
新しい水着のボトムは腰骨に引っかけて着るタイプ、腰のとこなんか幅が五センチくらいしかない……せめておへその下あたりまであれば……そしてトップは三角形の部分以外はほとんど紐……せめてもうちょっと三角形が大きいのにしておけば良かった、谷間もないのに……。
あ~あ、ウジウジしているうちに、海に行くの明日になっちゃった、もう買い直すのって間に合わないよね、第一貯金もあんまり残ってないし……スク水にしようかな……でもせっかく買ったんだし、海でスク水って、小学生じゃないんだし……イマドキ小学生でも海でスク水なんか着てないよね……。
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「あ、優奈、お早う!」
「オハヨ……」
「なんか元気ないなぁ、これから海行くって顔じゃないよ、こんなに天気も良いのに」
「だって……」
「あ、水着のこと? 心配ないって、絶対似合うから」
「そうかなぁ……」
優奈が住む町から最寄りの海水浴場まではバス一本で三~四十分、亜紀は家も近所で幼なじみだからバス停で待ち合わせた。
そして三つ目のバス停で……。
「あ、亮太、宏明、こっちこっち」
「お、亜紀、お早う、水着、楽しみにしてるぜ」
亮太と……亮太はどうでもいいんだけど、宏明も同じバスに乗って来た。
「ねぇねぇ、聞いて聞いて、優奈、新しい水着買ったんだよ」
「へぇ、どんなの?」
「ピンクのビキニ!」
「おっ、良いね! 楽しみ楽しみ、な? 宏明」
「あ、ああ……」
「なんか気のない返事だな、見たいだろ?」
「そりゃぁね……」
念のためにスク水もバッグの底に忍ばせて来たけど……もう後に引けなくなっちゃったじゃない、亜紀のバカ、お調子者……恥ずかしくって顔も上げられないじゃない……。
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「やっぱそれ、優奈に良く似合うよ、可愛いじゃん」
「……」
更衣室で亜紀にそう言われても、全然ピンと来ないよ。
亜紀の水着もビキニ、あたしのと形も面積も大体一緒だけどオレンジ色の地に真っ赤で大きな花がプリントされてるやつ、派手って言えば派手だけど南国って感じで良い、明るくて元気な亜紀に良く似合ってる。
でもCカップか、もしかしたらDカップあるかも知れない亜紀とハッキリクッキリAカップのあたしじゃ、同じような形の水着着ても全然違って見える、亜紀は谷間ばっちりなのにあたしはスカスカでうっかりかがんだらポッチが見えちゃいそうだし、亜紀はお尻にボトムが食い込んでるけどあたしは全然だし……。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「お~! 亜紀、すげぇじゃん! 海に来て良かった~!」
「バカ、あんたのために着てるんじゃないよ~だ、イケメンの大学生かなんかいないかなぁ、ナンパされてみたいなぁ」
「そりゃないよ、一緒に海入ろうぜ」
「まあ、とりあえず亮太でガマンしといてあげる」
二人が手を取り合って海に向かっても、優奈はバスタオルを肩から掛けて、レジャーシートから立ち上がれないでいる。
「俺たちも行こうよ、海」
「でも……」
「その水着さ……可愛いよ、似合ってる」
「胸も全然ないのに?」
「亮太は大きければ大きいほど良いとか言ってるけどさ、男がみんなそうだってわけじゃないぜ」
「そうなの?」
「小さくて華奢な娘が良いって男もいるよ……俺みたいにさ」
「え?」
「せっかく海に来たんだからさ、行こうぜ」
「う……うん」
宏明が手を差し伸べてくれたから、あたしもなんか自然に手を重ねられた。
そのまま手を繋いで海まで小走りに……良いな、こういうの、宏明とカップルになれたみたいで。
そして腰辺りまで海に入った時……。
「きゃっ」
ちょっと大きな波が来てよろけちゃった、そしたら宏明が背中に腕を廻して支えてくれた、ほとんど丸出しの背中に……。
すると……。
「大丈夫?」
「う、うん」
「あのさ……俺……」
え? なになに? 宏明ったらすっごい真剣な顔……。
「入学式で優奈を見かけた時から気になってたんだ、でさ、亮太と亜紀があんな感じだろ?優奈と一緒に過ごすことも増えてさ、一緒にいればいるほど、優奈のことがさ……その……好きになって行ったんだ……」
え? マジ? これって告られてるの?
「良かったら付き合ってくれねぇ? 優奈とカップルになりたいんだよ、俺……」
え~っ? ホントに? これって夢とかじゃないよね……。
「だめ?」
「だめなわけない……あたしも……好き……」
きゃ~っ! 言っちゃった、でも宏明から先に言ってくれたんだもんね、これで良いんだよね?
え? 反対の腕も背中に廻って来て……これって抱きしめられてる? こんなに肌が出てる水着で?……でも……なんか……幸せ……。
作品名:ビキニスタイルのお嬢さんたち 作家名:ST