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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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魔導士ルーファス(2)

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 バトンは走者だけの思いを乗せてるんじゃない。ここにいる全員の想いを乗せているのだ!
 もう少し、もう少しでバトンの先がビビの手に届く。
 って、バトンの先って切っ先だし!
「受け取れるわけないじゃん!」
 大声でビビがツッコミ手をさっと引いた瞬間、首なしの心が折れた。
 ドゥラハンの剣が手から滑り落ちる。
 スタジアムに響き渡る悲鳴の怒号。
 首なしは気づいた。まだだ、まだ終わっちゃいない。バント拾い上げ、もう一度――。
 と、腰をかがめて剣を拾おうとして、壮大に素っ転んだ!
 ビビの背中にダイビーング!
 まるでスローモーション。
 走馬燈のように蘇る記憶。
 ――立て、立つんだジョー!
「「ジョーじゃないし!」」
 ルーファス&ビビのダブルツッコミが炸裂した瞬間、ドカンと一発大転倒。ルーファスとビビを巻き込んで、大車輪のように地面を転がり回った。
 グルグル転がる生首。
「ぎゃぁぁぁぁ〜っ!(目が回るぅぅううっ)」
 地面に放り出されたように倒れ込んだビビが、眉尻を下げてゆっくり立ち上がった。
「いった〜い。ひざすりむいたぁー」
 うるうる瞳のビビちゃん。
 胴体と生首は?
「あ、間違えた」
 だれかがボソッとつぶやいた。
 声のしたほうに目を向けると、カーシャの傍らでルーファスが立ち上がろうとしていた。
 ルーファスのシルエット。
 そこにはなんと首がある!
 カーシャが手に持っているのはアノ接着剤。
 ふあふあしているローゼンクロイツが、何気なぁ〜くドゥラハンの剣を鞘に収めていた。
 ついに一件落着か!?
 ルーファスの首も元通りに、元通り……に?
 ビビが苦笑いをした。
「ルーちゃん……」
 そして、あからさまにイヤそうな顔をした。
「キッモ〜イ!」
 新たな変態魔獣誕生の瞬間だった。
 首が逆さま!
 顔が背中から見える。
「キモイとか言わないでよ。どうしてくれるんだよカーシャ!」
 涙目でカーシャに詰めよつもりが、逆方向に爆走。本人的にはカーシャに向かっているつもり。
 どてっ。
 身体のバランスが取れずにコケた。
 立ち上がろうとジタバツするルーファスの顔を、真上からローゼンクロイツが覗き込んだ。
「切り離すものが必要なら貸すよ?」
 差し出されたのは鞘に収まっているドゥラハンの剣。
 恐怖に歪んだ表情で眼を剥いたルーファス。
 無表情な目をして、ローゼンクロイツは口もとに不気味な笑みを浮かべた。
 果たしてルーファスのその運命はッ!?

 第19話_首ちょんぱにっく おしまい