魔導士ルーファス(1)
「だから私が悪いんじゃなくてカーシャがさ……(むしろ僕は被害者だ)」
「アタシが迷子になって変なオジサンに連れ去れてかれたら、どう責任取ってくれるのぉ?」
「いや、それは平気だと思うよ」
「どーゆー意味?」
「ビビだったら変なオジサンくらいコテンパンに出来ると思うから」
「ルーちゃんのばか!」
ビビのグーパンチがルーファスの頬にヒットした。
地面に倒れて死の境を彷徨うルーファス。きっとオジサンもこんな風にコテンパンにできる。ルーファスは身をもって実証したのだ。
気絶しかけたルーファスは身の危険を感じてすぐに立ち上がった。ディーの影がすぐそこまで迫っていたのだ。
ルーファスは手の平を胸の前に突き出してストップをかけた。
「大丈夫だから」
眼の前にはディーがいた。
「いや病院でレントゲンを取ったほうがいいだろう、頬骨が損傷しているかもしれん」
どうしてもルーファスを病院に連れて行きたいらしい。
しつこいディーをどうにかするには、これしかない!
ルーファスは逃げた。
「さよならディー!」
とりあえず別れの挨拶はしたが目線は前。ディーの姿は完全にフレームの外だ。
「待ってよルーちゃん!(またアタシのこと置いてく気?)」
すぐにビビはルーファスを追って走り出した。
作品名:魔導士ルーファス(1) 作家名:秋月あきら(秋月瑛)