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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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魔導士ルーファス(1)

INDEX|50ページ/110ページ|

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 濁流のように体内マナが流れ、受け取るカーシャは残った片手でルーファスの背を強く抱いた。
 かなーり濃厚なキッスだった。
 キスの最中でカーシャは笑いはじめた、
「ふふふっ、力が戻ってくるぞ」
 ルーファスの身体を突き放し、みなぎる体内マナを解放するカーシャ。
 その瞳は黒から蒼へ。
 が、瞳の色は急速に色あせていった。
「やはりダメか」
 カーシャは壁にもたれ掛かり座り込んだ。
 口付けだけでは、やはりダメなのだ。
 ルーファスは心を決めていた。
「僕で良かったら……その、あのぉ……」
「もういい」
「えっ?」
 あれれ、なんだか拒否されましたよ?
「もういい、妾の気が変わる前にさっさと立ち去れ」
「でも……それじゃあなたが……」
「うるさい、テクもない童貞に妾を満足させられると思ってるのか。気が変わる前に姿を消さんと、殺すぞ」
 童貞かどうかは置いといて、殺されるのは困る。
 腰が引けたルーファスは一歩下がり手を小さく振った。
「それじゃあ、さよならお元気で〜」
 さっさと逃げようとしたルーファスの足が止まった。
 このまま城の外に出たら死ぬし。
 ここで死ななくても、寒くて死ぬし!
「あ、あのぉ〜」
「なんだ、消えんと殺すと言っただろう?」
「こんな状況で頼むのも悪いと思うんですけど、実は私遭難しちゃって。山の頂上に行けばみんなが待ってたりするんですよねー」
「(……こいつアホだな)。城にワープ装置がある。その1つが頂上付近に繋がっている」
「あの、その装置はどこに?」
「自分で探せたわけがっ!」
 カーシャの手からツララか放たれ、ルーファスは紙一重で避けた。
「ご、ごめんなさい、自分で探します。すぐに消えますから!」
 猛ダッシュでルーファスは逃げたのだった。
 その後、ルーファスは城の中で小1時間ほど迷い、どーにかこーにかワープ装置によって頂上付近に到着。
 しかも、セイメイクラスでゴールできたのはルーファスだけという快挙。
 さらに1日では絶対に頂上まで辿り着くことは正攻法では不可能。
 登頂最短時間を樹立というさらなる快挙。
 しばらくの間、ルーファスは持てはやされたが、そんなメッキなんてすぐに剥がれたことは言うまでもない。
 そんなこんなで魔導学院入学初の?遠足?は幕を閉じた。

 が、そんな雪山での出来事なんて無理やり忘れていた日のこと。
 いつのもように魔導学院に登校して、いつものようにはじまりのベルが鳴った。
 そして、何時ものように1時間目の講師が教室に入ってくるハズだった。
 しかし、教室に入ってきたのは黒髪の妖艶な美女。
 金髪ではなくなっているが、その顔にルーファスは見覚えがあった。
「カ、カカカカカカーシャーん!!」
「久しぶりだなお前。だかな母さんではなく、カーシャだ」
 カーシャは妖しく微笑んだ。
 切りたくても切れない腐れ縁がはじまった瞬間だった。

 第5話_凍える記憶 おしまい