魔導士ルーファス(1)
ベッドから上半身を起こし、アインは首をかしげた。
「ローゼンクロイツ様の夢見ちゃった……えへへ」
下校のとき、ローゼンクロイツにビシッとされて気を失ったアイン。そのまま魔導学院の医務室に運ばれ、今までずっとベッドで寝かされていたのだ。
聖カッサンドラ修道院の宿舎では、ローゼンクロイツが頭を抱えながらベッドから起きていた。
「……気持ち悪い(ふにゃー)」
二日目じゃないのに、二日酔いだった。
ローゼンクロイツはしっかりと握っている拳を開いた。
掌に乗るレインボーな木の実。それはまさしくレインボーマタタビ。ちゃ〜んと夢の世界から持ち帰ったのだ。
でも、二日酔い。
ひどい吐き気と頭痛に襲われながら、ローゼンクロイツは再びベッドに潜った。
「……死にそう(ふぎゃー)」
作った顔ばっかりするローゼンクロイツが、この時ばかりは本当に死にそうな顔をしていた。
冒険を共にしたルーファスも全身の痛みで死にそうな顔をしていた。
ニヤニヤ嬉しそうな顔をしているのはアインひとりだった。
第4話_空色ドレスにご用心 おしまい
作品名:魔導士ルーファス(1) 作家名:秋月あきら(秋月瑛)