魔導士ルーファス(1)
そう、ここまで来たら誰もがお分かりだろう。昨日ビビが話した病院に出没したと言うピョンシーも、今日ローゼンクロイツが話した話も、ぜ〜んぶ正体はルーファスだったのだ。
ちなみに改めて言うが、昨日の蜘蛛男もルーファスが正体だった。
病院を出たところで、早足で黒衣を靡かせディーが追ってきた。
ルーファスは気付かないフリをして逃げようとしたが、横にいたローゼンクロイツがディーと目があったために、必然的もルーファスも足を止めることになってしまった。
ディーは紙の袋をルーファスに手渡した。
「ルーファス君、忘れ物だよ」
「忘れ物?(忘れ物なんかないと思うけど)」
学院から病院に直行したルーファスは、特に荷物も持っていないで担ぎ込まれた。
紙袋を受け取ったルーファスは顔を真っ赤にして袋を抱きかかえた。
ルーファスが目を泳がせる前で、ディーは妖しく微笑んでいる。
無表情でローゼンクロイツは尋ねる。
「どうしたんだいルーファス?(ふにふに)」
「な、なんでもないよ!」
顔を真っ赤にしてルーファス爆走。
ドン!
ルーファス誰かとぶつかる!
「いった〜い!」
尻餅をついて倒れたのはビビだった。
「ルーちゃんばかぁ!」
「ビビが私にぶつかってきたんでしょ」
「せっかく迎えに来てあげたのにぃ」
立ち上がろうとしたビビが地面に手をつくと、その手になにか柔らかい布の感触が……?
それはルーファスの紙袋の中身だった。ぶつかったときに飛び出したのだ。
そして、それを見たビビの顔が見る見るうちに真っ赤になっていく。
「る、ルーちゃんのエッチ!!」
ビビちゃんパ〜ンチ炸裂!!
その手には思わず握ってしまった謎の布。
ぶっ飛んだルーファスにビビはその布を投げつけた。
「もぉルーちゃんのこと知らない!」
仰向けになっているルーファスの顔面に乗った謎の布の正体は――
ルーファスのパンツだった。
ルーファス17の秋だった……。
第2話_リューク国立病院の怪異 おしまい
作品名:魔導士ルーファス(1) 作家名:秋月あきら(秋月瑛)