駄目でしょ!
「ここにも、イルミネーショ通りが 出来ちゃったんだねぇ」
白や青や黄のLEDで飾られた 通りの街路樹や建物に、歓声をあげる琴ちゃん。
上機嫌で歩いていた足が、突然 止まります。
僕は、繋いでいた手を引っ張られる形で、軽くつんのめりました。
「─ 琴ちゃん!?」
「駄目なの! まだ、お店に着いたら。」
「どうして?」
「右手は 暖まったんだけど、左手は まだなんだよ?」
「は?!」
「だから、今度は左手を繋いで 歩かないとなの!」
軽く唇を噛んだ 上目使いの琴ちゃんが、繋いだままの手を左右に動かして、僕の腕を振り始めます。
「ヒーローーォ」
「…仕方ないなぁ」
「うふ♡」