駄目でしょ!
「どうして?」
いつもの公園の いつもの時計塔の横。
17時の待ち合わせに、当然の様に15分遅刻した琴ちゃんは、謝るどころか 僕を詰問し始めました。
「何で、そんなものしてる訳!?」
どうも、手袋の事を言っている様です。
「寒いからだけど」
「ヒロは今から…、私と何をするつもりなの?」
「─ デート」
「じゃあ、そんなものしてたら 駄目でしょ!」
顔を顰める僕に、琴ちゃんは 食って掛かりました。
「手を繋がないデートなんか、ありえないんだからね!!」
「大丈夫。してても、手は繋げるから」
「デートで手を繋ぐ時には、手袋なんかしてたらNGなの!!!」
腕を伸ばした僕は、琴ちゃんの手首を取ります。
「これは、何でしょう」
「…私の手」
「自分だって してるじゃない。手袋」
「つ、繋ぐ前に 外すし…」
「じゃあ、僕も同じで 良いよね?」
「うー」