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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 3 私をそろばんずくにして

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私をそろばんずくにして



「暑くない?」
 ご機嫌な春樹は、信号待ちの車内で右腕を窓枠にかけながら、恵美莉に聞いた。

「暑いよ」
 今日は大学はお休み。初夏のさわやかな風を頬に受けながら、二人は春樹の新車でドライブを楽しんでいるのだが、直射日光をもろに受けている恵美莉の機嫌はあまりよくない。

「エアコン入れようか?」
「・・・ガソリンもったいないんでしょ」
 恵美莉は足を組んで、少し不貞腐れたように言った。
「じゃ、ちょっとだけ冷房かけよう」
「いいって! 我慢するから」
 二人はエアコンを我慢すれば、燃費が少し良くなるはずだと思っているのだ。春樹の実家は結構な土地持ちで、お金に不自由はなさそうだったが、春樹自身の財布事情はそんなにいい方ではなかった。
「でも、どのくらいガソリン代が節約できるのかしら」
「まだよく分からない。もともと燃費がいい車だから」
「じゃ、我慢する意味ないじゃん」
「いや、頑張る意味はあるだろ」
「燃費の悪い車で節約できてたら、比較的実感しやすいけど、この車だったら、ほんの何円とかじゃない?」
「・・・そうかもな」
「(せっかくの初ドライブ、もっと楽しみたいのに・・・)やっぱりそんな節約やめようよ」
「だな。面倒だな」
「そうよ。せこいせこい」
「真夏になってもエアコンかけない気でいたよ」
「ば、馬鹿じゃない?(笑)」