フリーソウルズ2
Scene.52
益岡入院中
都内大学病院
病室に設置されてあるテレビを見る益岡。
病室のテレビは連日起こるペットによる異常事態を報道している。
益岡 「どうしたらいいと思う、磯部」
壁際に立ち直立不動で訊く磯部。
磯部 「この事態を、ですか」
益岡 「違う。閣僚会議だ。動物の件で緊急に招集された」
磯部 「ご出席なさるべきです」
益岡 「厚労省は管轄外の事案だぞ」
磯部 「それでも、出席なさるべきです」
益岡 「そう思うか、磯部」
磯部 「先生は公には2週間の怪我。それを1週間で退院し、政府で唯一当事者となった大臣として、会議でリーダーシップを発揮なされば、政治家としての株があがること間違いなし」
益岡 「うまくいけばな。解決策がないと逆効果だ」
磯部 「先生、”彼”を呼んでみてはいかがでしょう」
益岡 「誰だ?」
磯部 「ユアト」
益岡 「あの若造か?」
磯部 「騎士団を裏切ったプロフェッサー・ユアサの息子」
益岡 「派手にやっているみたいだ。だが彼が来るかな、やすやすと」
磯部 「考えがあります」
益岡 「何だ?」
磯部 「総理のご威光を拝借すればいいかと」
益岡 「そうか、その手があったか。首相直々に招待されれば、イヤとは言えまい」
磯部 「内閣府に専門家会議の設置を提案します。そのメンバーにユアトを挙げておきます」
益岡 「場違いじゃないのか?」
磯部 「昨今は、各界から様々なエキスパートが招集されますので」
益岡 「で、奴との面談はセットできそうか?」
磯部 「やってみます。おまかせください」
益岡 「面白そうだ。何を考えてるのか、ユアトの腹を探ってやろう」
パナマ産の葉巻の匂いを嗅ぐ益岡。