フリーソウルズ2
洞穴の壁面に、二つ目の"正"の字となる横棒を一本刻む裕司。
洞穴の入り口に足を投げ出して空を見あげる裕司。
洞穴の中で横になり、右足をさする裕司。
暗い洞穴の中で眠ろうとするが寝つけない裕司。
あれこれ考えて、頭を振る裕司。
月のない夜。
まるでプラネタリウムを見るような満天の星空。
地上の森は暗黒の世界。
森の一画が一瞬、白く光る。
森の内側から生じた光が同心円状に広がり、すぐさま閉じるように消える。
ついに助けが来たか?と心が騒ぐ裕司。
裕司 「おーい!」
光が発したしたほうに向かって叫ぶ裕司。
光のほうに手を振る裕司。
しばらく目を凝らし耳を澄ませる裕司。
返事はない。
二度目の光の輝煌もない。
暗闇の森は静寂に戻る。
肩を落とす裕司。
同じように落胆の表情を浮かべるジロー。
ジローのの背中を優しく撫でる裕司。
声が聴こえた気がして周囲を見廻す裕司。
誰もいない。
裕司の頭の中にだけ聞こえる声。
”ワレハアルジノイトナミヲサマタゲテハナラヌ”
”ワレノソンザイガオビヤカサレルトキハソノカギリ二アラズ”
”ワレハワレノミデハナイ”
”ワレワレガテヲトリアウトキ、ソレハシンパンノトキデアル”
裕司 「ああああああああっ!」
頭を掻きむしる裕司・
何度も同じ文言が繰り返される。
裕司 「もう限界だ、ジロー。明日ここを出る」