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架空植物園2

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自らの動きというより引っ張られているという感じで、植物ドラゴンは加速し、もう頭と思える部分が目の前にあった。ドラゴンの手か足のような部分が差し出されて、私はそれをつかんでいた。すぐに引っ張られる感覚がるなと思う間に、私は植物ドラゴンに抱えられるように暗闇を下に向かっていった。

ぼんやりとした明かりが見え始め、やがて広場と思える場所に着いた。地下の筈が明るい。と、まずそう思った。街路灯のように灯りがともっている木が何本もあって、私は感心してその木を眺めた。小さな椰子の木のようだった。まるで椰子の実のように見える実がが発光しているようだ。少し青みがかかった灯りが幻想的で美しかった。その灯りに誘われるように昆虫が乱舞していた。私を誘ったあの蝶かあるいはその仲間も飛んでいる。私はこの木に街路灯の木と名前をつけた。上を見上げると太陽のように明るい所があって、穴から地上の光も届いているのかもしれない。いつもの習慣でカメラを取り出して撮ろうとしたが、カメラは動作の途中で止まってしまった。いろいろとボタンを押しても反応が無い。電源のオンオフだけは出来る。

私はゆっくりとこの不思議な世界を興味深く観察しながら歩いた。残念だ、写真に撮れないなんて、私は再度カメラを取り出してやってみたが白っぽい画面で凍ったように動かない。あきらめるしかないなあとカメラをしまう。ユリのような花が、かざぐるまのように回っている。それじゃちぎれてしまわないかと独り言をいいながら、近付いてよく見る。なんとゴム動力のように柄が捻れ、また戻ることを繰り返しているのだった。おそらく茎に水分を送り込んだり止めたりする弁があるのかもしれない。かすかな風が送られていて、いい匂いがした。おそらく自分の花粉を飛ばしているのだろう。私はこの花をカザグルマソウと命名した。

少し傾斜があって、下方に向かって行くと足元に湿気を感じた。と思う間もなく足が沈む。土と草だと思っていたが、泥の上に葉が出ていただけだったかもしれない。sらに身体が沈む。
うわぁあっ!
私はそれでもとっさに判断していた。泳ぐように傾斜の上の方に身を投げ出す。面積が広くなった分浮力がついて引き込まれて行く感じが薄れた。でも、少しずつ低い方に移動しているようだ。掴まるものを探して、手を伸ばして少し大きめの草を掴んだ。それから身体を引き上げようとしたのだが、そんなに力をいれないでも上方に移動している。引っ張られている? 私は直に固い土の上に身体を横たえることが出来た。

掴まっていた草が動いている。私はゆっくりと動くその草を見て、あ、ドラゴンと懐かしい友達に会ったような感じになってしまった。おそらく水をあげて動けるようにした植物ドラゴンなのだろう。亀のようにゆっくりと動くその背中にそっと手を当てて「ありがとう」と言った。手のひらが少し震動したような気がした。まるで昔話のように助けたものに助けられる。少し可笑しい気持ちになって軽く笑った。そうだ、あのドラゴンにも名前をつけようかと、しばらく考えて亀龍草(キリュウソウ)と命名した。種としては亀龍草だが、この個体はドラゴンと呼ぶことに決めた。

作品名:架空植物園2 作家名:伊達梁川