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漫才:ゲームの話

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漫才コンビ: キノエトキノト

甲(きのえ):うぇーーっす。わっしょーーい。
       (服の襟元をいじりながら)
乙(きのと):どうも、お疲れ様です。
        (丁寧にお辞儀をしながら)

甲:今日はゲーム開発の企画を考えて来ました。
乙:へぇ。お前そんなスキルあったの?

甲:いやスキルも何もねぇって。そもそも簡単だろ。 美少年だして美少女だせばいいんだろ? (右手で客を指さしながら)
乙:やめろばか。(指を強引に引っ張り下ろしながら)
  世の中舐めるなよ
甲:あれでしょう? それで課金で水着コスチューム出せば買うんでしょう?
 (左手で客を指さし流れ)
乙:ゲーム業界舐めるなって。
甲:基本はヲタクの巣窟でしょ?巣窟。
乙:業界をチュッパチャップスだと思ってんのか
甲:いや、どっちかっていうと俺チュッパチャップスよりもウェルタースオリジナルの方が……
乙:そこはどうでもいいんだよ。
 はい、戻せ戻せ、話のレールを。 で、懐かしいな、その駄菓子。


甲:あれホラ、チュッパチャップスって結局のところ、アノ棒が邪魔じゃないですか。歩きながら舐められないですし。
乙:話戻せって言うんだよ
甲:あと、みなさん、あれ買ったことあるよって人います?あのチュッパチャップスを回す玩具。
乙:脱線長いわ。
 今後、3言以上に脱線したらマジ罰だぞ。トラベリング取るぞ。


甲:で、なんだっけ。 美少年キャラを出して乳首を露出しろ、だっけ?
乙:本戦もロクなもんじゃねぇな、お前の話。
甲:いや大事な事ですよ。 女の乳首と違って、男の乳首は自由に出せますから。 ね?
乙:『ね?』じゃねぇんだよ。人さまに振るな。
甲:自分ね、美少年キャラこそ乳首を強調すべきだと思うんですよ。例えばニプレス貼って輪郭だけポチッと浮き彫りにしたりさ。
乙:語るなよ。語り出すなよ。
甲:男の人間の筋肉の美しい発達を現しつつ、女性と同じように肌を美しく塗って、それで細身のキャラな体つきにして中性的な顔にすればいいわけよ。
乙:はいはい。
  (客席を笑顔で見渡しながら)--みんな自由にスマホ弄ってて。

甲:まぁ、そういうことですから。
  (語り切った満足げの顔で)
乙:で、結論それでいい?
甲:……あれ?
  いや、もともと別で言いたいことあってですね……
乙:(粘っこく睨む)


甲:……ごめんなさい、自分なんの話してましたっけ
乙:いわんこっちゃねぇな
甲:あの、自分はもう話のレールがあっちこっち分岐しちゃってるんで
乙:分岐さすなや
甲:網目状に3次元に広がってるんで。時には過去に遡る4次元的な話のレールの広がりも見せますよ。
乙:もっと一本道で走れ。ローカル線みたいに。田舎の鉄道みたいに。富山の愛の風ライナーみたいに。

甲:……はぃ??
 (覗きこみながら)
乙:あぁ、いい、いい、いい
 流せ、流せ、流せ。 あれだろ?ゲームの話だろ?

甲:(パァンと手を叩いて)
 そうそう、ゲーム。ゲームの話ですよ。
 あのボールペンにキャップを付けるゲーム。あのゲームは笑いましたねぇ
乙:話違うだろ。
  そこに繋がる話はしてなかったと思うぞ

甲:え。してなかった?
乙:お前の話の路線は、その駅には開通してなかった。絶対に。
甲:え、じゃ、どの路線だ……
乙:いやほれ、そもそもキャラクターがさ、美少年が出てると売れる的なさ。
甲:あ、そうだそうだ
  美少年とニプレスの話な

乙:そうそうそう。纏め方がちょっとズレた気がするけど。
甲:それで、飴の話始めたんだ。

 ―-で、最近の飴ってさ

乙:いや、飴のトークは別に本戦じゃないから
甲:え、この話してなかったっけ!? 飴トークしてなかった?
乙:してたけど、そいつは中心じゃなかったから。脇道だから。テレビ朝日の人気番組の名前じみた話はしてなかったから。
  東武線で言う所の亀戸線だから。


甲:……亀戸線……?
   (覗き込みながら)
乙:ナガセナガセナガセ!
 話を、話題をさっきした話にもどせ

甲:えと、さっきはアレだよね。地方のローカル線の
乙:そっちじゃねぇそっちじゃねぇ、俺がさっき出した例え話じゃねぇ
甲:えぇっと、なんだけえ、富山県のぉ……
乙:してたことはしてたけれどもよ。それは俺にとっての脇線だから。ゲームの話だって。


甲:あぁ、ボールペンの。
乙:一回失敗した路線にもっかい戻るなよ
甲:あ、しまったウッカリ乗車しちゃった。
  (てへぺろのポーズ)
乙:顔気持ち悪いわ
 (後頭部をどつく) 
  だぁから、美少年のさぁ
甲:ぁ、オッケオッケ。美少年の下半身の服装についてだっけ?
乙:そこはしてなかった気がする。
甲:下半身のズボンのファスナーは空けておけ、って
乙:知らんわ。
甲:下半身のファスナーから覗く景色は、胸の谷間の眺望と同じでございますので
乙:テメェの癖を格言みたいに取り扱うなよ。
甲:その、ファスナーの内側の生地の凹凸、皺の寄り方、そのディティールを表現することで……

乙:止まれバカ
  (額ひっぱたきながら)
甲:生地の内側を。コンテンツの輪郭を立体的に想像させるようにですね

乙:おい、バカ電車
 (額を二回連続でひっぱたきながれ)
甲:またこれがね。少年なのにね。本人のサイズに対して大きかったりしてね。

乙:くっそ、ブレーキどこについてんだ、この馬鹿電車。
甲:そして逆に上半身ね。美少年の乳首ですよ
乙:話は戻ってきたけど、本筋は本筋で問題だな


甲:(咳払いして)やっぱりねぇ、美少女キャラが首から上だけで成立していないのと同じように、美少年キャラも首から下で勝負すべき時代が来てると思うんです。
乙:咳払いしてまですな。喉を整えてまですな、そんな話を。
甲:ですからですね、ここは1つ『ディステニーチャイルド』のように行くべきなんですね。あれに出てくるキャラクターは素晴らしくてね。
乙:唐突に自分の好きなゲームの布教を始めるなよ
甲:あの胸板の表現は本当に豊かでねぇ……
乙:あくまでもメインディッシュはゲームだったろ、起源は。
甲:……ぁあ~


乙:大してピンと来てねぇじゃないか
甲:話してたかなぁ~~そんな話も。 
(腕を組んでしみじみと)
乙:なんでちょっと言い方ノスタルジックなんだよ。
(少し吹き出しながら)
もう初期衝動は完全に消えてるよな。話の本筋断裂してんのか、お前

甲:大丈夫、大丈夫。するするする。ゲームの話する。
 で、まぁ、x-boxの思い出なんですけども――
乙:おい、またレールチェンジしてるぞお前
甲:やっぱり、今、この御時勢だからこそ『鉄騎』シリーズの最新作を出すべきだと思うんですよ。VRで。
乙:話変わってるつーーの
甲:youtuberがやったら面白いっすよ。
 あのクソみたいな連中が見つければ、ゲーム実況動画で盛り上がって売り上げも伸びると思うんです。
 あの、人の褌で相撲獲るのが得意な連中がさ
乙:何が切っ掛けの毒舌だよ。
甲:あぁいうのがネット文化を牽引してる内は日本はろくなことには……
乙:トラベリングトラベリングトラベリング(腕をグルグル回しながら)
作品名:漫才:ゲームの話 作家名:能嶋考稀