子供たちが……ライダー!
「おあいにく様、そっちも笛を吹くのを止めてもらったおかげで洗脳が解けたみたいよ」
レディ9も立ち上がった。
「そうか……くそっ、ええい! 子供戦闘員! もう一度ライダー共の動きを封じろ!」
笛吹き男は再び笛を構えるが、砂が詰まった笛からはまともに音が出ない。
「し……しまった……」
動揺する笛吹き男にライダーが冷たく言い放つ。
「どうやらお前は改造人間ではないようだな、警察に突き出すだけにしておいてやるよ」
「ふん! そう簡単に捕まるものか……あ、なんだ? お前たち! 手を放せ!」
笛吹き男は既に子供戦闘員に囲まれてしまい身動きが取れなくなっていたのだ、大人と子供と言えども多勢に無勢、引き倒されてしまう。
「ああっ、止めろ! 止めてくれ~!!!」
ポカスカポカスカ、ポカポカポカ……。
操られていたことを知った子供たちの怒りが笛吹き男に雨あられと降りかかった……。
ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!
「とんだサンタのプレゼントだったな」
再びスナック・アミーゴの2階、事件解決の報せを受けたおやっさんは満面の笑みだ。
だが……。
「子供たちの夢を壊すような真似をしやがって……」
「ホント、ショッカーの考える事ってサイテー」
特に子供好きな剛と志のぶは憤懣やるかたない様子。
「子供たち、サンタさんが嫌いにならないと良いけど……」
児童養護施設職員だった晴子はそう心配する。
「そうだな、サンタさんに付いた悪いイメージを拭わないといけないな、今回の事件で活躍してくれたのは砂かけさんと子供達だからお礼もしないといけないしな」
「砂かけさんには聞いておいたわ」
「そうか、晴子ちゃん、何が良いって?」
「補聴器だって、子泣き爺さんと茶飲み話する時聞き取りにくくて困ってるって言ってた」
「なるほど、じゃ、子泣きさんの分と二つプレゼントしよう、クリスマスだしな」
「子供達には?」
「そうねぇ……大勢だし、特定もできてないし……」
思案顔の一同に向かって、おやっさんが笑いかけた。
「君たちは子供たちのヒーロー、ヒロインだからな、握手するだけでもプレゼントになるだろう?」
そう言っておやっさんがひらひらさせて見せたのは五枚の真っ赤なサンタ帽子。
思いがけずクリスマスの街角に現れた、サンタ帽子をかぶったライダーたちに、子供たちが大喜びで群がったのは言うまでもない。
(終)
作品名:子供たちが……ライダー! 作家名:ST