左端から見れば全部右寄り
4. ジミンガーR4
「出たな! リッケン団」
「おう! 出ないでか! 今度こそ貴様の最後だ!」
「あの会のことか、正式に釈明しただろう?」
「不充分だ」
「どう説明すれば充分なのだ?」
「退陣表明あるのみ、それ以外に納得できる答えなどない」
「リッケン団も同じ会を主宰していたと思うが?」
「あれはミンシュ団だ、我々ではない」
「中身は同じのようだが?」
「一度解散して新たに決ししたのがリッケン団だ、だから何の関わりもない」
「面子が変わらなければ世間はそうは見ないだろうがね」
「我々がこうだ! と言えばそうなのだ」
「良くも恥ずかしげもなくそんなことが言えるもんだ……だがこのようなことで退陣などせぬ、そもそも国民から支持されておるのだ」
「何とでも言っておるが良い、我々はチームを結成し一丸となって大キャンペーンを打つのみ」
「証拠はどうした?」
「そのようなものは何とでもなる」
「やはりそれか」
「当然だ、目立ってナンボのものだからな」
「今回に限らず、貴様らに本気で戦う気はないと見える」
「なんだと? 戦っておるではないか」
「我々が言うのは議論を戦わすと言うことだ」
「ふっふっふっ……議論など必要ない、我々の立場は『なんでも反対』だからな」
「対案はどうした? 対案無くして議論は出来ぬぞ」
「そんなものは必要ない、我々リッケン団が目指すのは現政権の転覆、政局こそが全て、この国の舵取りになど興味はないわ」
「政権を取ろうなどとは考えぬのだな……百歩譲って我々が破れたとしよう、その後この国はどうなる?」
「知ったことか」
「やはりな……我々はそんな奴らに負けるわけには行かないのだ」
「何とでも吠えておれ、出でよ! ジミンガーR4!」
リッケン団首領・Y・Eが両腕を高く差し上げると、背後から巨大ロボットが!
「キーッ!キーッ!キーッ!」
「出たな! R4!」
「どうした? そっちも巨大ロボットを出さぬのか?」
「必要ない」
「ほう、それでどうやって戦うと言うのだ……やれ! R4!」
「キーッ! 特大ブーメラン!」
ジミンガーR4は渾身の力を込めて特大ブーメランを投げる……が、しかし。
「ギィァァァァ!」
「ど、どうした? R4!」
「どうしたもこうしたもブーメランとは元々投げ手に帰るものだ、だが、手で受け止めることはできないようだな」
「ええい! うるさい! 手で受け止めるのも顔で受け止めるのも同じことだ! もう一度行け! R4!」
「ギャアァァァァ」
「怯むな! もう一度だ!」
「ギャアァァァァ」
「しっかり手で受け止めんか!」
「ギャアァァァァ」
「何をしておるのだ!」
「ははは、何度やっても同じようだな」
「くっ……」
「見た目ばかりでかくても所詮中味は中〇製、精度に問題があると見える」
「くそっ! ええい! ブーメランはもう良い! 踏みつぶせ! R4!」
「そう来たか、ならばこれだ!」
「ど、どうした? R4!……早く踏みつぶさんか!」
「ムリだ、R4には出来ん」
「貴様! 何をした!」
「なぁに、本国主席の肖像を掲げたまでのこと……ではこちらからも反撃させてもらうぞ」
「どうした! R4! なぜ止まる!……貴様ら一体なにを……」
「なぁに、黒塗りしていない戸籍謄本を額に張り付けさせてもらっただけよ」
作品名:左端から見れば全部右寄り 作家名:ST