EMIRI 2 あたしの話聞いてるの?
「ああ。重い空気って、そういうことだったのか」
「うんうん」
恵美莉は面白そうに笑った。
「でも、その場に居ずらくなかった?」
「誰が?」
「恵美莉がだよ」
「あたしは、その場になんか居ないわよ」
「え? 一緒に飲んでたんじゃないの?」
「飲んでるわけないじゃない。見ず知らずのグループと」
「ええ? どういう話なの?」
二人は顔を見合わせながら、
「・・・ヒデキさんから聞いたのよ」
「ヒデキさん?」
「うん、マスターよ」
「・・・ミモザちゃんのお兄さん?」
「そう」
「やたら人間関係詳しいから、てっきり友達の話だと思ってた」
「聞いただけよ」
「でも、さっき妹さんのことミモザって、呼び捨てにしてたよね」
「ええ」
「会ったことないってのに?」
「ミモザは、年下だからよ・・・」
「マスターも店の客の秘密を、あっさり恵美莉に暴露するんだな・・・」
「え? ま、店で飲んでたら、ほかの客の面白エピソードって、結構聞くから・・・」
恵美莉の目が泳ぎだした。
「おまえ、そのマスターと浮気してないか!?」
「な? 何言うのよ。そんなことあるわけないじゃん。あたしには春樹君だけよ!」
(なんでこんなことだけ、しっかり言い当てるのよ?)
終わり
作品名:EMIRI 2 あたしの話聞いてるの? 作家名:亨利(ヘンリー)