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つる女の恩返し(ライダー!シリーズ番外編)

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「なんて非道な!」
「ははは、今のは誉め言葉として受け取って置こう……やれ! サギ男!」
 サギ男も本性を現し、怪人の姿に。
 サギ対ツル、どちらも大型の水鳥、武器は長い嘴と脚だ。
 戦闘の仕方も似通っていて、ツッツキ攻撃と長い脚から繰り出す蹴り、だが改造前の人間としての戦闘能力は男性であるサギ男の方が高い上に、日常的な訓練も受けている、つる女は徐々に押され始めた。
(このままでは……でも、負けるわけには行かないのよ! あたしがこいつに勝るところと言えば……そうだ!)
 つる女は後ろへ飛びのくと空中高く飛び立った、逃がさじとばかりにサギ男も飛び立った。
(この一年、飛んでばかりいた、空中でならばあたしに分がある)
 つる女はそう考えたのだ。
 そして、死神に向かって急降下すると、死神師匠の危機とばかりにサギ男も追って来る。
 追いつかれそうになるつる女、しかしそれはつる女の策略だった。
(今少し速く飛べば追いつく)
 そう考えたサギ男は大きく広げていた翼を少し畳んで空気抵抗を減らそうと試みる、それこそがつる女の狙いだった。
 翼の角度を少しだけ変え、翼に向かい風を受ける、するとふわりと浮き上がり、真下にサギ男の体が。
「捕まえた!」
 サギ男の翼に腕と脚を回して締め付け、羽ばたきを封じた。
「くそっ! 何をする、このままでは地面に激突する!」
「それが狙いよ!」
「ぐ……二枚の翼で二人分の体は支えきれない、貴様も地面に叩きつけられるぞ!」
「あたしはそれで構わない、それでおとっつぁんとおっかさんを守れるならば!」
「は、離せ!」
「いやだね!」
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」
「死神! あんたも巻き添えよ!」
 つる女はサギ男を抱きかかえたまま急旋回、死神へ向かって急降下。
「よ、よせぇぇぇぇっ!」
 二体の怪人が地面に叩きつけられる、そして巻き添えになった死神が吹き飛ばされる。
 骨が砕けるような不気味な音が響いた。
「お、おつるや!」
「おつる! だ、大丈夫か?」
 サギ男と死神は既に息絶えていた、そして、つる女は残る力を振り絞っておつるの姿になった。
「おとっつぁん……おっかさん……今度こそお別れですね……」
「おつる! しっかりしておくれ! おつるや! おつるや!」
 だが、養父の腕の中でおつるは目を閉じた……。

ライダ~ \(\o-) →(-o/) / ヘンシ~ン!→\(〇¥〇)/ トォッ!

「おつるや、随分と食べられるようになったんじゃないかい?」
「ええ、だいぶ良くなりました、おっかさん……」
 おつるは死んでいなかった、瀕死の重傷を負ってはいたが、養父母の必死の看護で一命をとりとめたのだ。
「かゆをもう一杯どうだね?」
「もう充分です、ごちそうさまでした」
「さぁさ、横になりなさい」
「はい……何から何までお世話に……」
「何を言うんだい、たった一人の娘じゃないか……」
 あの日以来衝撃団は現れていない、どうやらここを知っていたのは死神とサギ男だけだったようだ。
 おつるが怪人つる女だと、人ならざる者と知ってなお、娘と呼んでくれるおとっつぁん、おっかさん……。
 おつるはその幸せを噛みしめていた……。
 だが、逃亡者つる女への追っ手はまたいつ現れるかわからない、こんなに良くしてくれるおとっつぁんとおっかさんを守るために早く良くならなければ……。
 そして町ではこのところ不可解な事件がしばしば起こっていると聞く……衝撃団の仕業に違いない……それを許しておくわけには行かない、今こそ正義と平和を守る者が必要なのだ、それができるのは自分をおいて他にない。
 もうおとっつぁん、おっかさんの目の前で変身することにも躊躇はない。
 そして衝撃団がどんな怪人を繰り出してきても負けるはずはない……なぜならば、おつるには守るべき人が、愛する人がいるから。
 愛する者がいること……それは人を強くしてくれるのだから……。