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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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L K ゼロ 「スピンオフ」(仮題)第7話まで公開

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 空が晴れた。風もない。絶好の植え替え日和だ。もちろんリンゴの木のことだが、果たしてうまくいくだろうか? 植え替え作業がという意味ではない。その後の木の生長について計算しきれていない不確定要素もある。アンドロイドらしくはないが、それを考えるとまた心配になるのだ。
 この星が低重力のせいで、17メートルまで伸びてしまったこの大木を、パワーローダーで抱きかかえて、庭に運ぶ。エルは日当たりのいい場所に植え替えたいと望んでいたので、この場所を選んだのだが、今、気が変わった。基地のすぐ横などではなく、あの丘に植えよう。そして、その側に居住棟を建設すれば、将来、牧場や水源の湖まで見渡せるようになる。きっとエルは喜んでくれるだろう。

 それから数日、リンゴの木は土壌に馴染んだようだ。まだ安心はできないが、そればかりに気を取られてもいられない。ついに掘削ポイントで、インフィニチウムの反応を感知したのだ。こちらも一安心といったところだが、どれほどの量が埋蔵されているのか確かめに行かねば。
 セラミック管のトンネル内の土砂をすべて取り除くだけで、14日間を要した。ダイヤモンドのような固く大きな鉱物が多いので仕方ない。そのトンネルからソニックドリルを引き上げたが、かなりの高温の状態で使用を続けたため、まる焦げ状態だった。地上の1.6倍にもなる重圧にもよく耐えた。これからこの地にインフィニチウムの精製プラントを建設していく必要があるのだが、その原石は手作業で掘り出していくしかない。なぜなら非常に繊細な元素なので、少しの衝撃でも、インフィニチオン連鎖反応で大爆発となる。
 地下の高温には耐熱服があるが、立っているのもままならない重圧に耐えるのは、人間には無理だ。これはアンドロイド向けの仕事である。昇降機を設置して、私はその地下深くまで降りて行った。人間なら、地獄へ続くとか、そんなふうに表現するのだろうか? そして私は、真っ暗な地獄の底に着いた。スキャナーで確認すると、まずまずの量が埋蔵されていそうだ。これで基地のエネルギー問題は1000年分は解消された。もっとも、基地を拡大していって、都市でも出来上がれば、他の土地でも掘削が必要にはなるだろうが。
 サンプルとして持ち帰った原石から、18グラム精製できた。たったこれだけでも、高出力のプラズマが発生させられて、私一人なら、1年はエネルギーを使い放題できるな。