王子と七枚の鏡
「そうだ。お前をそんな姿にしたのもこの私。鏡を割らせた張本人だよ!」
言うが早いが老婆は悪魔の姿に戻り、指の先から青い稲妻のようなものを出して王子を攻撃し始めました。
王子はその細い稲光を盾で跳ね返すと、剣を持って大きく振りかぶりました。
「そんなもの!」
悪魔は王子の剣を透明な壁のようなもので弾き返すと、今度は金色の縄のような光を出し、盾ごと王子を縛り上げてしまいました。
「くっ…!」
王子が諦めかけた時、王女であるドラゴンが、「やー!」と一声叫ぶと後ろから悪魔につかみかかりました。
「おのれ!離せ!」
捕まえられた悪魔はドラゴンに魔法をかけようとしましたが、その一瞬の隙をついて、王子は剣を構え直し、ドラゴンの指の間から悪魔を刺し殺しました。
「そんな…まさか…!」
悪魔はそう呟くと共に、体がバラバラになり、そのままさらさらとした砂になってしまいました。
悪魔が王子と王女の手で倒されると、まばゆい光が城全体を包み、すべてがもとの美しい姿に戻りました。
「ありがとうございます。コボルト様」
王女は王子にお礼を言いました。
「姫、こんな姿をしていますが、実は私はある国の王子なのです。私は姫を愛しています。どうか私と結婚してはくれないでしょうか?」
王子は跪いて王女にプロポーズしました。
王女はクスリと笑うと、
「もちろん喜んで」
と言って、王女はしゃがみこんで王子にキスをしました。
その途端、王子もまた白い大きな光に包まれ、もとのりりしい姿に戻ったのです。
こうして王子と王女はともに王子の城に戻り、いつまでも幸せに暮らしました。