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泉絵師 遙夏
泉絵師 遙夏
novelistID. 42743
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久遠の時空(とき)をかさねて ~Quonฯ Eterno~上

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 それまで黙って学院長の横に立っていた、背の高い強面の男が話し出す。「君たちに、ひとつ言っておきたいことがある。――さきほどの騒ぎの件だが――」
 室内がまた騒がしくなる。
「静かにと言っておろう!」
 彼の一声で、また静かになる。「あの件に関して、すでに色々と噂が流れているようだが。騒ぎに関して、彼女には全く責任はない。あれは事故だったのだ。彼女はたまたま現場にいて、それに巻き込まれたに過ぎない」
 助かった、この人がたぶん学寮部長。これで変なあだ名がつかないで済む――
「原因については、目下調査中だ。君たちも、あらぬ詮索はしない方がいい。優秀な諸君なら分かると思うが、異常なエネルギーの増大や空間変調を感じた者がもしいるのなら、手を挙げたまえ」
 誰もが固まったように、手を机の下に隠したままだった。
 学寮部長はしばらく待ってそれを確認してから、続けた。「よろしい。これは非常に繊細な事態なのは確かだ。なので、緊急総会が開かれる。従って、午後の授業は全て自習となる」
 そこまで言うと学寮部長は、その隣の教師に目配せした。
 教師はアルティアに向かって言う。
「そういうことなのでワッツ君、午後の自習の采配を頼む」
「はい、わかりました」
 その言葉に、アルティアは答えた。その声音からも、彼女が優秀な級長であることが窺えた。
「じゃあ君は、私と一緒に来てくれるかな」
 学院長のイリアンが微笑む。
 教室中の注目を浴びる中、暖野は教室を出た。