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大地は雨をうけとめる 第7章 待つ者たち

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「不幸なのは、当人ではなく、そなたら周囲《まわり》の者であろう。世間を憚《はばか》っての監禁は、よく行われてきたことじゃ。悪霊憑きとして忌まれ、蔑みを受け、その果てに身内の者が手を下すことも少なくない。正気を保っていた時には、愛おしんでいた者に刃を向ける。辛いことかもしれぬ……されど!」
 シリンデの声に力がこもる。
「愛するに値せぬ者か? 彼らは? 与えること、生み出すことのできない、厄介者。さっさと死んでくれるがいい、穀潰《ごくつぶ》し。そのように思うてはおらぬか? つまるところ、そなたらは利用価値のある者しか愛せぬのじゃ。狂人だけではない、いざり、盲《めしい》、つんぼ、働けぬ病人や老いた者。己の欲を満たす役に立たねば、そなたらは愛することも、受け入れることも考えぬ。違うかえ?」
 シリンデは優艶な笑みを浮かべて、ルシャデールを見据える。
狂人を愛する? 受け入れる?
 彼女の頭が混乱する。
 無理だ。
「とくと考えるがよい」
 シリンデはそれだけ言うと、姿を消してしまった。ルシャデールは肩を落とし、その場に立ちすくんでいた。