和ごよみ短編集
《其の21》『みまう』
残暑お見舞い申し上げます。
立秋とは名ばかり、暑い日が続いています。ちょっとやそっとの暑さじゃなくて まだまだ猛暑です。
自分がアイスクリームじゃなくて良かったと思う今日この頃です。
それでも木陰に入れば多少は凌げるかと思うのですが、頭上からは降るような蝉しぐれです。カナカナと趣のあるひぐらしの鳴き声ならまだしも、暑苦しいあぶらぜみの鳴き声に汗がまた吹き出してきそうです。
先日は汗かと思いましたら、蝉シャワー。嬉しくもありませんでした。
やっと夕刻になって陽射しは和らぐものの、夕涼みするには路面の熱い空気が足元から上がってきます。
蒸し焼きにされる鶏ってこんな思いをしているのかと気の毒に思いました。
幼い頃、縁側で過ごしたことをふと思い出します。蚊取り線香の煙に喉を嗄らし、西瓜の香りもわからなくなってしまって、つい塩をかけ過ぎていましたね。
それほど蚊取り線香の匂いが鼻をついているのに しっかり腕にも腿にも蚊の襲撃で かゆいかゆい。かいてはいけないと爪でばってんをつけるたび、刺された箇所がどんどん膨らんでいくのが憎たらしくて、最後は噛みついていましたね。
かゆみ止めの薬つければいいのにと思っていました。
『暑さ寒さも彼岸まで』と念じるように言っていましたが、あれは『悲願』と勘違いしていたのでしょ? 一度紙片に書かれていたのを見つけて、云おうか云わまいか半日ほど悩みましたが、悲しいかな、告げる勇気はありませんでした。
これこそが悲しき願い。あぁ本当は可笑しくて可笑しくてたまりませんでした。
今年は、お祭りは行かれますか? 楽しかったですね、あの縁日。浴衣が着ていくといって待ち合わせに現れたとき、向かい合って気付くと鏡を見ているような同じ裾合わせ。
精霊流しに流さなくていいのかな…。もしやと思い、足元ばかり見てしまいましたが脚はありました。そんなに人生急がなくてもいいじゃないの。死者と同じ着物合わせは悲しくなりました。
一緒に写した写真に三角の布を書き加えたこと、今、謝ります。ごめんなさい。
つもる話は、お盆に帰郷した時にまたしましょう。
暑さに負けず、頑張ってください。負けたからと云って泣かないでくださいね。
でも、ちょっと想定してハンカチ持って行きますから安心してください。
そのうちひと雨きたら涼しくなることと思いますが、そのうちがいつなのか…天気予報士じゃないので傘を持ち歩くことをお勧めします。どうかおからだに気をつけてお過ごしください。僅かな段差でもつまづいて転ぶほうが 心配なんですけどね。
くれぐれもご自愛くださいますようお祈りいたします。ついでにわたしのことを愛してくれることも祈ります。
とりあえず、残暑お見舞い申しあげます。あ、もう始めに書いてあった(笑)