オヤジ達の白球 61話~65話
オヤジ達の白球(62)中華まん
祐介がアクセルを踏む足に、すこしだけ力を込める。
雪道にあせりは禁物。ましてここは高台へむかう心臓破りの急坂の途中。
空転したタイヤは、雪に溝を掘る。
そうなると、雪用のタイヤでも雪にはまることがある。
頂上まであとすこしというところで祐介が「あ・・・」と急ブレーキを踏む。
ロックされたタイヤが、ガツガツと車体を揺らす。
しかし新品のスノータイヤの効き目は抜群だ。
左右にふられることもなく坂の斜面で、車体をしっかり停止させる。
祐介の車の前方、およそ10メートル。
ハザードを点灯したまま、立ち往生している車が有る。
後部に見えるのは高齢者マーク。
スノータイヤは履いているらしい。しかし、履き古しているような感がある。
頂上まであとすこしというところで、ついに力尽きたようだ。
作品名:オヤジ達の白球 61話~65話 作家名:落合順平