うそつき
その夜、お母さんにそのことを話した。お母さんは褒めてくれた。でも、それだけだった。私にも来たのなら、次は弟だろうと、そればかり心配していた。やっぱり、私はいらない子なんだと思った。
学校での私に対するいじめは加速した。片親、ててなし子、言われたい放題だった。男子女子関係なく好奇の対象になった。お父さんがうわきしたとか、借金で別れたとか、私も知らないことが本当のことのように広がって、私は田舎の学校でおかしな子、近づいてはいけない子になってしまった。
都会の真ん中で一クラスしかなかった時の方が、もっと馴染みやすかった。転校生もすぐに友達として仲間になれた。でも、一学年5クラスの学校では、少しでもみんなと違うだけで仲間外れになる。田舎だから余計に、都会から来た子は異質なのかも知れないけど、何も言わない大人よりも、汚い言葉を直接浴びせてくる同級生に私は黙って耐えた。
だって、耐えるしかないじゃない。
言い返しても、私にはもう、お父さんはいないんだし。
六年生になって、いじめはもっと酷くなった。
私は初めて自殺しようと思った。先生は、割といい人だった。最初は私の弱気がいけないって言ってたけど、話しているうちにわかってくれた。でも、見えないところでいじめは続いた。少しずつ、少しずつ、おろし金で大根を削るように、少しずつ、心が削られていった。
少しずつ、私は壊れていった。
壊されていった。
嘘つきな私。大嫌いな私。
ごめんなさい。
生まれてきて。
私を大好きって言ってくれた人にまで嘘をついた私。
みんなに嘘をついた私。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい……