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天空の庭はいつも晴れている 第5章 動き出した計画

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 だけど、ある日サラユルが助けてくれたの。もう大丈夫だよって。ナイフを抜いて、空のお庭に連れて行ってくれたわ。それはとても素敵なところ。だけど、あたしが何よりも嬉しかったのは、長い苦しみを終わらせてくれたこと。そして『かわいいミディヤ』と呼んでくれたことだわ。生きていた時、男の子はあたしを見ると石を投げたもの。サラユルはアビュー家の跡取りだったの。もちろん癒し手よ。銀色の髪に、青い目をして、水晶の精みたいに素敵なの。彼の役に立ちたくて、生まれ変わることはせずに、花守としてここに降りてきたの。サラユルと一緒にいたのは三十年くらいだったかしら。病気で死んじゃったわ。癒し手なのにね。だから、あたし待っているの。彼が生まれ変わってくるのを。でも、あなたたちの中に彼はいないみたいね」
「残念ながら」
 ルシャデールは他に言いようもなかった。生まれ変わりと言っても、同じ国に生まれて来るかはわからない。
「もし、会えたらどうするの?」
どちらかと言えば泣き虫のアニスは、ミディヤの話を聞いてすでに鼻水をぐしゅぐしゅさせている。
「お空の庭からたくさんの花の種を持ってきて、世界中を花だらけにする!」
「サラユルは喜ぶだろうね」そろそろ本題に持って行かなければ。ルシャデールは話題を変えた。「実はお願いしたいことがあるんだ。」
「ああ、そうだったわね。なあに、お願いって?」
「マルメ茸とヌマアサガオの処方を教えてほしいんだ」
「あれは心が体から抜け出してしまうわよ」
「うん。この子を天空の庭に連れて行きたいんだ」ルシャデールは親指でアニスを示した。
「そうなの。ちゃんと帰ってくるんだったら……マルメ茸は小さめを二個、ヌマアサガオは種を一掴み。水差し一杯の水で半日煎じるの。それをコップに一杯飲めばいいわ」
「ありがとう、かわいいミディヤ」アニスが言った。
「時々は呼んでちょうだい。あたし、またあなたとお話ししたいわ。お茶とお菓子も用意してくれるとうれしいわ」
 アニスは半ばひきつったような顔で、それでもにっこり笑って花守を見送った。