【詩集】 蒼い風
星風
風が流れる星降る夜に
いつかあなたと見た満点の夜空のように
今夜はとても星が綺麗
甘いような苦いような
宇治金時に似た香りをはらんだ空気の中で
私は空を見上げている
あのときは、もっと甘やかに感じられたものが
今となっては苦みがかって胸を締めつける
静かであればあるほどに
私の心はひび割れてゆくようで
それでも歌う歌さえなくて
ただ黙って空を見上げている
風が流れる星降る夜に
いつかあなたと見た満点の星空のように
星空はいつもそこにあるけれど
あなたはもう、ここにはいない