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一人旅の勧め

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前書き


私は若いころから旅行が好きだった。
気の合った友人と二人だったり、大勢の仲間とだったり、自分一人だけだったりだが、それぞれの旅行の形には、それぞれ良いところがあった。
結婚してからも、年に最低でも1回は旅行に行った。
旅行の良いところの一つは、日常からの脱却だと考えていたので、いつもわりと贅沢をして、高級なホテルや旅館に泊まっていた。
子供が成長して中学生になると、親と一緒に行動するのをいやがるようになった。そこで、家族旅行は年に1回と決め、子供たちが行きたくなるような場所を選んだ。その結果、国内では北海道や沖縄、沖縄のさらに南の八重山とか、あるいは海外に行くようになった。
しかし、さすがに高校を卒業し大学に行くようになると、親と一緒の旅行について来なくなり、妻は妻で友人達と出歩くことが多くなった。
そこで私は、若い頃のような一人旅を再開することにした。
一人旅の良さは、その自由さにある。誰の意見を聞くこともなく、誰に気兼ねすることも無い。自分の行きたい所へ行き、やりたいことをやり、居たいだけ居る。これほどの自由があるだろうか。
一人きりだと寂しいだろうと言う人がいる。確かに寂しく感じるときもある。しかし、日常の中で多くの人達と互いに気を使いながら仕事や生活をしていると、ときには一人きりになって自分だけの世界で静かに過ごしたいと思うことがある。
そんなときに一人で見知らぬ駅に降り立ち、見知らぬ街を歩き、見知らぬ景色を眺めるのは、最高の贅沢と感じる。

作品名:一人旅の勧め 作家名:sirius2014