ニート戦記
プロローグ
時は再安価労働奴隷主義時代。会社は労働に金を出さず損害金やら成長金の為に金を貯め続けいていた。しかし、それは名目に過ぎず実際はこの世に有象無象と存在する快楽や娯楽に金を投げうっていた。そんな現実も知らずに低い給与で雇われる若者達。ピンハネされて帰ってくる給与。お偉い方々がキャバクラに行く為に使われる税金を永遠と払わされる非お偉い様の国民達。この時代に希望も光も無い。だが、全ての事実は国民には知らされることはない。誰も何も知ることなく、この世は静かに滅びへと向かっていた。しかし、この現実に気づいた一人の男が立ち上がった。彼はこの事実をSNS上に発散。全てのメディアが人を脳死させる料理番組しかやらないこの時代に、彼はyouttubeに動画まで上げ、国民に全てを知らしめた。
「我々は安い賃金で働かされている。何故誰も声を上げぬのか!何故誰も怒らぬのか!」
彼の動画は10再生程された。
「延べ10人の革命者よ!我々は今危機に立たされていると思わないか。」
彼に一体何が出来よう。この延べ10人に何の力があるというのだろう。
「今一度この国について深く考えるべきだ!料理番組に侵され死滅した脳細胞を今一度震わせよ!立ち上がるべきだ!延べ10人のニート達よ!…最初のオフ会を企画しよう…」
この一声が全ての始まりだった。
第一回ニートオフ会。三人程しか集まらなかったが、その会は成功を収める。
彼らは人を集める為にsns等でさらに呼びかけを行い、第20回を迎えるころには約30名程にまでなった。そして50回目を迎えたころには数千のニート達がその集会に赴くようになった。
「…帝国だ…我々にこの国は最早必要ない!我々自身で力をつけるのだ!我々が新たな国を作るのだ!同志達よ!立ち上がれ!明日の夜明けは近い!」
ニート間で使える紙幣から始まり、海外の協力者を得る為の徹底した語学研究、したくない仕事をさせる為の強力なAI開発、電力供給等の自己エネルギー開発、他国に踊らされぬ為の武器開発。ニート達はこれらに己の全てを尽くした。
ここから25年の月日が流れる。ニート帝国の大きさは最早、どんな軍事国ですら適わない程の強大な一つの帝国となっていた。
第1話
トントントン…
「彼はどこかね。」
「彼」とは誰のことだろうか。この国を作った人間は「彼」。かの国を作った人間は「彼」。私の前で話をしているこの禿げた人間ですら「彼」に分類されるのではないか。
トントントン…
「口を割らないつもりかね。」
自ら自分の口をトンカチ等といったもので割る変人がいるものか。口は割るものでは無い。開くものだ。
トントントン…
「我々は君たちを歓迎していないんだ。我々は武力介入はもちろんしない。」
大国によって支援され始めたニート達による新たな国家。大国は我々を認容したのだ。あまりにも我々の国がそういった武力というものに言葉を濁し続けた結果だろう。
あの国が我々をそのような国家として認容したのはそこが一番大きい。
トントントン…
「ニートが作った帝国か。君達は偉大なる暇人だ。」
あぁその通りだ。我々は暇人なんだ。だが、良く考えてくれ。国を作るというのは暇だからこそなせる技だ。我々は退屈によって生まれた産物なのではないだろうか。暇人が暇人に暇人だと告げるとはどうにもおかしな人間達だ。
トントントン…
「政府は混乱状態だ。」
国家に何が必要かって。主権に永続的に寄生し続けるニートにプライベートな領域。そしてニート経済学者、ニート心理学者によって生み出された異様な程に緻密に練られた交渉術。ニート物理学者、ニート数学者、ニートアミオタによって作られた兵器という名のどこにでも飛ぶように売れる製品。これらによる他国との良好な関係を結ぶ力だろう。
トントントン…
「君達だって遊びだった筈じゃないか。」
遊びとは面白いな。国を運営するのは遊びか。…だが言いたいこともわかる。国を作っている我々は国を作ろうともしない怠惰の人々から見れば、つまりだ、そういったことを成し遂げようともせずこの世に存在するありとあらゆる問題を国家という一つのまるで人格のようなものに丸投げし、放任し、それでも我々は国民だと叫んでる人間からすれば我々は遊んでいるようにしか見えないということだろう。
トントントン…
「君達はここまでして…その、何故、我々の元で働こうとしない。」
あなた方の国で働いて何にもならなかったからじゃないかな。禿げた人。そして何が一番気に食わないかって、国民は痩せているのに、何故あんたはそんなに太ってられるのかな。お偉いさんの鑑のような人間だ。
トントントン…
「その、やめてくれないか、その机を指で叩くのは」
「お言葉ですが。あなたもハンカチで首の周りを拭くのをやめて頂きたい。そして出来ればそのお腹も少し引っ込めて頂けないかな。見苦しいので。」
びっくりしたような顔だ。あぁ。だろうね。早く帰ってくれ。ここ最近こんな話ばかりだ。
第2話
「我々は幸福を求めた。」
「新たな国の認容には人を殺さざるを得ない時がある。」
「働かなければならない。だが金にはならない。」
「若者は頽廃していく。何をしても報われないという考えの重さは当事者にならなければわからない。」
新たな国家はあまりも宗教じみていたような気がする。もっとニートというのは楽しいもので、何も考えが無いものだと思っていた。
「氷河期のせいである。」
「誰かがバブルを終わらせなければこんなことにはならなっただろう。」
悲しい気持ちにもなる。我々は何のためにに生きるのかということを考えた。
「負け組と勝ち組」
「負け組は一生負け組」
「格差の拡大」
格差を埋める為には各々が努力するべきだ。言い訳にしか聞こえないという響きもあった。だが、本当に努力によって全てが平坦にいくだろうか。
何故こんな人間が集まり新たな国を一から作り直せたか分かるだろうか。
最初は大変だった。誰が本当の無能かを炙り出す必要があったからだ。最初の話に戻っただけだ。人と共に共存出来ず、技術も身につけ無い人間を生かす理由なんてあったのだろうか。
「私の国は帝国だよ。」
古い国家、古い国民に逆寄生している人間は我々を非道と示した。だからこそ思う。我々は滅びをきちんと受け入れようと。諦めきれないのだ。寄生を続ける愚かな人々は。機能等していない国家を。滅んでいないと口を大にして叫ぶだろう。
私の国は帝国だ。私は自分の部屋の天井を見ながらひたすら繰り返した。
そしてこの男はこんなことを考えながら自殺した。
第3話
「心理学とデータサイエンティストの新たな融合が我々の心理的な負担を軽くした。法の分野を人間のある一定の感情を廃棄したものであるべきとし、それに対する新たなアルゴリズムを形成した。だが、人工知能に新たな国の指導者になってもらおうということでは無い。淡々と迅速に裁けるようにしただけだ。」
時は再安価労働奴隷主義時代。会社は労働に金を出さず損害金やら成長金の為に金を貯め続けいていた。しかし、それは名目に過ぎず実際はこの世に有象無象と存在する快楽や娯楽に金を投げうっていた。そんな現実も知らずに低い給与で雇われる若者達。ピンハネされて帰ってくる給与。お偉い方々がキャバクラに行く為に使われる税金を永遠と払わされる非お偉い様の国民達。この時代に希望も光も無い。だが、全ての事実は国民には知らされることはない。誰も何も知ることなく、この世は静かに滅びへと向かっていた。しかし、この現実に気づいた一人の男が立ち上がった。彼はこの事実をSNS上に発散。全てのメディアが人を脳死させる料理番組しかやらないこの時代に、彼はyouttubeに動画まで上げ、国民に全てを知らしめた。
「我々は安い賃金で働かされている。何故誰も声を上げぬのか!何故誰も怒らぬのか!」
彼の動画は10再生程された。
「延べ10人の革命者よ!我々は今危機に立たされていると思わないか。」
彼に一体何が出来よう。この延べ10人に何の力があるというのだろう。
「今一度この国について深く考えるべきだ!料理番組に侵され死滅した脳細胞を今一度震わせよ!立ち上がるべきだ!延べ10人のニート達よ!…最初のオフ会を企画しよう…」
この一声が全ての始まりだった。
第一回ニートオフ会。三人程しか集まらなかったが、その会は成功を収める。
彼らは人を集める為にsns等でさらに呼びかけを行い、第20回を迎えるころには約30名程にまでなった。そして50回目を迎えたころには数千のニート達がその集会に赴くようになった。
「…帝国だ…我々にこの国は最早必要ない!我々自身で力をつけるのだ!我々が新たな国を作るのだ!同志達よ!立ち上がれ!明日の夜明けは近い!」
ニート間で使える紙幣から始まり、海外の協力者を得る為の徹底した語学研究、したくない仕事をさせる為の強力なAI開発、電力供給等の自己エネルギー開発、他国に踊らされぬ為の武器開発。ニート達はこれらに己の全てを尽くした。
ここから25年の月日が流れる。ニート帝国の大きさは最早、どんな軍事国ですら適わない程の強大な一つの帝国となっていた。
第1話
トントントン…
「彼はどこかね。」
「彼」とは誰のことだろうか。この国を作った人間は「彼」。かの国を作った人間は「彼」。私の前で話をしているこの禿げた人間ですら「彼」に分類されるのではないか。
トントントン…
「口を割らないつもりかね。」
自ら自分の口をトンカチ等といったもので割る変人がいるものか。口は割るものでは無い。開くものだ。
トントントン…
「我々は君たちを歓迎していないんだ。我々は武力介入はもちろんしない。」
大国によって支援され始めたニート達による新たな国家。大国は我々を認容したのだ。あまりにも我々の国がそういった武力というものに言葉を濁し続けた結果だろう。
あの国が我々をそのような国家として認容したのはそこが一番大きい。
トントントン…
「ニートが作った帝国か。君達は偉大なる暇人だ。」
あぁその通りだ。我々は暇人なんだ。だが、良く考えてくれ。国を作るというのは暇だからこそなせる技だ。我々は退屈によって生まれた産物なのではないだろうか。暇人が暇人に暇人だと告げるとはどうにもおかしな人間達だ。
トントントン…
「政府は混乱状態だ。」
国家に何が必要かって。主権に永続的に寄生し続けるニートにプライベートな領域。そしてニート経済学者、ニート心理学者によって生み出された異様な程に緻密に練られた交渉術。ニート物理学者、ニート数学者、ニートアミオタによって作られた兵器という名のどこにでも飛ぶように売れる製品。これらによる他国との良好な関係を結ぶ力だろう。
トントントン…
「君達だって遊びだった筈じゃないか。」
遊びとは面白いな。国を運営するのは遊びか。…だが言いたいこともわかる。国を作っている我々は国を作ろうともしない怠惰の人々から見れば、つまりだ、そういったことを成し遂げようともせずこの世に存在するありとあらゆる問題を国家という一つのまるで人格のようなものに丸投げし、放任し、それでも我々は国民だと叫んでる人間からすれば我々は遊んでいるようにしか見えないということだろう。
トントントン…
「君達はここまでして…その、何故、我々の元で働こうとしない。」
あなた方の国で働いて何にもならなかったからじゃないかな。禿げた人。そして何が一番気に食わないかって、国民は痩せているのに、何故あんたはそんなに太ってられるのかな。お偉いさんの鑑のような人間だ。
トントントン…
「その、やめてくれないか、その机を指で叩くのは」
「お言葉ですが。あなたもハンカチで首の周りを拭くのをやめて頂きたい。そして出来ればそのお腹も少し引っ込めて頂けないかな。見苦しいので。」
びっくりしたような顔だ。あぁ。だろうね。早く帰ってくれ。ここ最近こんな話ばかりだ。
第2話
「我々は幸福を求めた。」
「新たな国の認容には人を殺さざるを得ない時がある。」
「働かなければならない。だが金にはならない。」
「若者は頽廃していく。何をしても報われないという考えの重さは当事者にならなければわからない。」
新たな国家はあまりも宗教じみていたような気がする。もっとニートというのは楽しいもので、何も考えが無いものだと思っていた。
「氷河期のせいである。」
「誰かがバブルを終わらせなければこんなことにはならなっただろう。」
悲しい気持ちにもなる。我々は何のためにに生きるのかということを考えた。
「負け組と勝ち組」
「負け組は一生負け組」
「格差の拡大」
格差を埋める為には各々が努力するべきだ。言い訳にしか聞こえないという響きもあった。だが、本当に努力によって全てが平坦にいくだろうか。
何故こんな人間が集まり新たな国を一から作り直せたか分かるだろうか。
最初は大変だった。誰が本当の無能かを炙り出す必要があったからだ。最初の話に戻っただけだ。人と共に共存出来ず、技術も身につけ無い人間を生かす理由なんてあったのだろうか。
「私の国は帝国だよ。」
古い国家、古い国民に逆寄生している人間は我々を非道と示した。だからこそ思う。我々は滅びをきちんと受け入れようと。諦めきれないのだ。寄生を続ける愚かな人々は。機能等していない国家を。滅んでいないと口を大にして叫ぶだろう。
私の国は帝国だ。私は自分の部屋の天井を見ながらひたすら繰り返した。
そしてこの男はこんなことを考えながら自殺した。
第3話
「心理学とデータサイエンティストの新たな融合が我々の心理的な負担を軽くした。法の分野を人間のある一定の感情を廃棄したものであるべきとし、それに対する新たなアルゴリズムを形成した。だが、人工知能に新たな国の指導者になってもらおうということでは無い。淡々と迅速に裁けるようにしただけだ。」