や・く・そ・く
「い~やぁ~~」
下校時刻。
琴音さんの絶叫が、教室に響きます。
「あ、雨がぁ~~ いつの間にか止んでるぅ~~~」
皆の注目浴びながら、宏和君は急いで駆け寄りました。
「琴ちゃん! 落ち着いて!!」
「でもぉ~~~ 相合傘がぁ~~~~」
周りに、片手で謝るしぐさをする宏和君。
いつもの<バカップル案件>だと納得したクラスメートは、各々の帰り支度に戻ります。
「ヒロ…どうしよう……」
宏和君は、自分に縋り付く琴音さんの背中をさすりました。
「相合傘で、帰れば良いんじゃないかな。」
「え?! ホントに?」
「琴ちゃんが気にしないなら」
「大丈夫! 私、傘持ってきてないし。」
「…雨が降ってないのは、問題ないの?」
「うん。そんなのは、大した問題じゃないから!」
良く解らない理屈に突っ込みたい気分の宏和君でしたが、言葉を飲み込みます。
「─ じゃあ、帰ろうか」
「うん♪」
嬉しげに歩き出した琴音さんは、追いついた宏和君に微笑みました。
「次はちゃんと雨が降ってる時に、<正しい相合傘> しようね♡」