小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

や・く・そ・く

INDEX|5ページ/5ページ|

前のページ
 


「い~やぁ~~」

 下校時刻。

 琴音さんの絶叫が、教室に響きます。

「あ、雨がぁ~~ いつの間にか止んでるぅ~~~」

 皆の注目浴びながら、宏和君は急いで駆け寄りました。

「琴ちゃん! 落ち着いて!!」

「でもぉ~~~ 相合傘がぁ~~~~」

 周りに、片手で謝るしぐさをする宏和君。

 いつもの<バカップル案件>だと納得したクラスメートは、各々の帰り支度に戻ります。

「ヒロ…どうしよう……」

 宏和君は、自分に縋り付く琴音さんの背中をさすりました。

「相合傘で、帰れば良いんじゃないかな。」

「え?! ホントに?」

「琴ちゃんが気にしないなら」

「大丈夫! 私、傘持ってきてないし。」

「…雨が降ってないのは、問題ないの?」

「うん。そんなのは、大した問題じゃないから!」

 良く解らない理屈に突っ込みたい気分の宏和君でしたが、言葉を飲み込みます。

「─ じゃあ、帰ろうか」

「うん♪」

 嬉しげに歩き出した琴音さんは、追いついた宏和君に微笑みました。

「次はちゃんと雨が降ってる時に、<正しい相合傘> しようね♡」
作品名:や・く・そ・く 作家名:紀之介